現代社会の問題を痛烈に風刺した快作

すごすぎる…え、本気でこれすごくないですか?
高齢社会の問題点を逆手にとって、これほどまで命の価値について考えさせられるとは思いませんでした。

正直、僕も長生きしすぎる高齢社会に危機感を持っています。
すぐ死ねとは言いませんが、ほどほどのところで老人には往生してもらわないと、とてもお年寄り全員を養えないのが現実です。
そちらにばかりお金がかかってしまい、若い世代が苦しみ、子供を産めない世の中になっているのは純然たる事実です。このままでは国が立ち行かなくなる。すでにそうなりかけている。老害、という言葉がずいぶん身近になりました。

その中で、いかにやりくりするのか。
安楽死や尊厳死の問題とも直結する、非常に高尚なテーマです。
安楽死が正常に機能するのならば、作中のように、定年で命を絶つのも悪くないと思います。海外では実際に採用している国もあります。
そのとき、残された者はどうなるのか。

美莉奈ねえちゃんの存在も巧妙ですね。
キャラクターの配置からも、作者様の問題提起を感じました。

その他のおすすめレビュー

織田崇滉さんの他のおすすめレビュー415