こうなりたくなかったら……。

 人口爆発と食糧危機が心配されていた時代の『ソイレント・グリーン』や『定年食』よりはマシになりましたが、人的資源の劣化は如何ともし難い。
私が百才まで生きたとしても、ちょうどその頃人口の4割が高齢者となり、私のような虚弱者は一番有難がってもらえない(苦笑)。この作品そのままのようにはならずとも、自然・社会環境が悪化した場合には、助けきれずに犠牲となる恐れが増えてしまうでしょう。

 この問題への対策も含め、①物的資源(資源枯渇・環境破壊)②人的資源(能力・資質低下)③経済・社会(急速な景気変動や格差拡大)の持続可能性を高めて、地球というひとつの空間的限界に到達した人類文明の、時間的な持続を図る技術と政策が求められます。

 そうした技術はすでに生まれつつあります。①再生可能なエネルギー・材料資源の技術。②人的資質の経年・経代劣化を人道的な手段で防ぎ、補える先進医療・ICT技術。③より公正で効率的に、争い少なく利害を調整して、人間の社会的意思決定も助けることにより、資源の再分配と再投資を両立させ易くするビッグデータ処理技術。農業・工業・情報技術に続き、生体工学・生物工学や人工知能が生み出した、自然環境だけでなく体内環境や社会環境にも優しい『環境親和技術』、あるいは人工物と自然物、特に生体との垣根を取り払う『生体親和技術』です。

 そのような技術を①適切に開発し、物的資源として普及させる技術政策や、②悪用・誤用せずに善用するための政策を考え、支え、受けて活かせる人材を育成・確保する教育・保健政策、そして③両資源を経済・社会の持続的発展のために再投資・再分配して活用し、宇宙開発などさらなる技術革新につなげる産業・社会政策が期待されます。


 

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