概要
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!発想の無重力こそがその誇りである
この作品を読んで改めて実感しました。
SFというジャンルの素晴らしさを。
他のジャンルの作品が王道だの創作ロジックだの既存の名作だのの重力にとらわれ、わずかに残った未開の地を求めて地べたを這いずり回っている間、彼らは重力を無視してふわふわ宇宙まで飛んでいくことを競ってるのです。(いや、まあ、SFはSFなりの既存作の影響はあるのでしょうが、それでもです)
この物語はなぜか月に倒れている記憶喪失の男、つまり全くの白紙の男に、 謎の声がありとあらゆる可能性をうそぶくという体裁をとっています。
その『声』が提示する可能性のうちいくつかは、私が読んでも何が元ネタか分かる内容のものです。ちゃん…続きを読む - ★★★ Excellent!!!センスの足りない読み手には理解すら許さない作品
かく言う僕にも、控えめに言ってわけがわかりませんでした。
僕にはまだまだ読者力が足りないようです。
......感想、これで合ってますか?(笑)
真面目な話、このわけのわからなさこそが作品の醍醐味なのだと僕は解釈致しました(もちろん褒め言葉です)。
過去、これほどまでに主人公と感覚を共有できる作品はあったでしょうか。
自身の置かれている状況が飲み込めない主人公。作品の内容がなかなか理解出来ない読者。そして、最後まで個としての正体の明かされない二人称(あなた)。
もはや無粋かもしれませんが、小説の文面を越えて現実の「あなた」に作用する混乱、これこそが、この作品の意図するところなのではないでし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!読む者に変容を促す小説、あるいはプロの犯行(絶賛)。
どこかで聞いたような、聞きたいようなお話が絶対的危機にある主人公に囁かれます。
(死にかけの主人公にはどうでも良い話ばかり)
倒れた主人公の周りを何の悪意もない子犬のようにぐるぐると話が回っていく。
しかし、わたしはそれら小断片の物語いずれかに琴線に触れるなにかを発見してしまう。
やがて気がつけばウイルスに感染し、奴らの遺伝情報を増やす機械になりはてている。
感動や衝撃、意外な展開で人の心を変えるような小説ではない。どのみちそいつらは一過性だ。
しかしこの小説は読了後、わたしはこれまでとは違った何かを再生産し始める。
「物語の原点」に繋がる何か。
繰り返し繰り返し読みたくなる。あ…続きを読む