第4話 妹・魔鈴

 さて四つ目のお話しは、私たち4人が不思議な旅をする、そのきっかけとなったエピソードです。

 そうそう、あれは長梅雨も明け、いよいよ真夏が始まろうとする時節。もうすぐすれば夏期休暇に入ろうとしていました。サラリーマン全員がサマーバケーションへの期待を膨らませている、そんなある日のことでした。

 私、高瀬川龍斗は昼食から戻り、デスクでスマホを操作しながらニュースをチェックしていました。これといった興味のあるソースはなく、ただ漠然と指で送りながら眺めていただけでしたが。


 そんな無思考で虚脱な状態の時に、風早美月子、ミッキッコが突然歩み寄ってきたのです。

「龍斗、下のロビーに妹さんが訪ねて来てるって、今受付から連絡があったわよ」

「えっ、妹って? 俺の?」

 私は耳を疑いました。だって私は一人っ子で、妹なんていません。

 こんな反応を見せた私に、「白状しなさいよ、彼女なんでしょ」とミッキッコの目が明らかに疑ってます。

「違うよ、俺には恋人もいないし、もちろん妹なんかもいないよ。女友達はミッキッコと佳那瑠だけだよ」

 私はミッキッコの疑心を晴らすのが精一杯でした。


「ふうん、そうなの。だけど何か事情がありそうね。龍斗、ちょっとどんな女性か顔だけでも見に行ったら」

 ミッキッコが勧めてくれました。

「ああ、それにしてもな」

 私はなにか不安でもあり、また邪魔くさくもあって、どうしようかと迷いました。しかし、ここは重い腰を上げて、「じゃあ、ミッキッコも一緒に付いてきてくれないか」と同席を頼んでみました。

「なによ、ホント龍斗は、小心者なんだから。あの一条戻り橋で、お姫さんダッコして私を5月4日に戻してくれた時も、身体が震えてたわよね。まあ仕方ないか、付いて行ってあげる」


 こんなやり取りをした後で、私はミッキッコと連れだって、一階のロビーへと降りて行きました。

 すると、レセプションの片隅に小さな接客ブースがあるのですが、そこに年の頃は25歳前後の、ヤケに色白でスリムな女性が一人座っていました。

 そのレディーは真っ白なブラウスの胸に赤薔薇のブローチを着け、センスが良さそう。そしてデニムジャケットを羽織り、色褪せたディーゼルデニムをピタリと長い足に決めていました。


 私は後ろからミッキッコにドンと背中を押され、おおっとと声を発しながら女性の前へと進み出て、恐る恐る「あのう、私が高瀬川龍斗ですが、何か御用ですか?」と声を掛けました。

 すると女性は何の躊躇することもなく、私を真正面に見据えて、「お兄さん、御無沙汰です。私、魔鈴まりんよ」と返してきました。


 この魔鈴と名乗る若い女性、エキゾチックな面差しで聡明そうです。それにしても、私はどこかで会ったような気がして、「魔鈴さんですか、一度どこかで……」と言葉を発した時に、はっと気付いたのです。

 そういえば、この女性と幼い頃から何回かいろんな場面ですれ違っているなあと。

 確か初めて見たのは、小学生の頃だった。どこかへ旅行する時のことだったのですが、駅の向かいプラットホームから、幼い女の子が手を振ってきました。なぜか鮮明にその時の情景がまぶたの裏に残っていて、その女の子こそが只今目の前にいる女性だと。


 また、その後の成長過程で、遠くの方から二、三回見掛けたことがありました。

 さらに高校生の時だったと思いますが、確かガールフレンドと歩いている時に、中学生くらいになっていたその女の子とすれちがいました。

 それから長い間見掛けなかったのですが、ほんの2週間ほど前のことでした。仕事を終え、このオフィスビルを飛び出した時に、この女性がオフィスへと入って行きました。

 特に大した話しではないのですが、なぜか私はそれらのすべてを鮮明に記憶しているのです。


「魔鈴さんと仰られるのですね、そうですか、小さい時から何回かお目に掛かってますよね」

 私は向かい合って席を取り、自分の記憶に間違いがないか確認してみました。

「もう何回も、そうです、数え切れないくらいですよ。だって私、ずっとお兄さんを見張ってきたんだもの」

「えっ、俺を見張ってきたって? それって、どういうこと?」

 私はもう訳がわかりません。そんないぶかってる私に魔鈴は慌てる風もなく、奇妙なことを話し始めました。

「だってお兄さんは生まれると同時に、地球に派遣されたのでしょ。だからその後が心配で、この年になるまで……、私がお目付役だったの」


 私はこれにどうリアクションして良いのかわかりません。しかし、横に並んで座っていたミッキッコが、「そうだったの、魔鈴さん。こんなコントロールの効かないお兄さんを見張ってたの。本当にご苦労様でした」と勝手に納得してるじゃありませんか。

 またそれに合わせるように、魔鈴が「朱雀の風早美月子さんですよね。こんなわがままな兄がいつもお世話になってます。ありがとうございます」と、まるで何もかも知ってるかのように礼を述べました。


 当然、私は腑に落ちません。「おいおいミッキッコ、それに魔鈴さん、これってどういうことなんだよ。俺には妹なんていないし、わがままでもないぜ」と少し熱くなり、ムキになって否定しました。

 するとミッキッコは「龍斗には妹さんがいたのよ、目出度いことじゃない。もっと素直に喜びなさいよ」と、やっぱり口うるさい女だ。


 しかしながら、こんなところでミッキッコと言い争っても仕方がないし、また強く否定しても、ゴタゴタと言い返されるのが関の山、そんなの鬱陶しいですよね。そのため、「ああ、俺に妹がいたことが事実だったとして、魔鈴さん、なんでこの時期になって、名乗り出てきたの?」と単純に質問をしてみました。

「お兄さんたち、四神倶楽部を発足させたのでしょ。だから──目覚める時がきたのよ」

 魔鈴と名乗る女性は表情明るく微笑みました。


 それにしても、なぜ四神倶楽部発足のことを知ってるのだろうかと私はまず不思議でした。それでも一応、「四神倶楽部ってね、ミッキッコが朱雀で佳那瑠が白虎、それに悠太が玄武で、私が青龍です」と自己紹介し、「それはそうとして、突然目覚めよと仰られても……、ね。単に遊びの延長で、倶楽部を結成させただけなんだけどなあ」と独りぶつぶつ言うしかなかったです。


 しかし、魔鈴はこんな男の呟きを聞き流し、またまた理解に苦しむようなことを話すではありませんか。

「お兄さん、今日はね、みなさんを連れて一度里帰りでもしたらと思って、勧めに来たのですよ」

 えっ、こんな突飛な話しって? 私は多分口を大きく開けて、ポカーンとしていたでしょうね。それでも一拍の間を取り、「里帰りって、どこへなの?」と気を落ち着かせ訊いてみました。

 するとですよ、魔鈴が一言だけさらりと口にしたのですよ。「グリーンスターへよ」って。


 私はまったくちんぷんかんぷんで、「えっ、グリーンスターって? それって、ってこと? まさかまだ熟してない、じゃないだろうなあ」と、こんな笑えない冗談をかまさざるを得ませんでした。

 されどもですよ、それと同時に、ミッキッコは目をキュッと吊り上げて、「ちょっとー、龍斗、出来損ないのオヤジギャグ飛ばさないでよ。ちゃんと妹さんの話しを聞いて上げなさいよ!」と恐い顔で睨み付けてきました。

 それから魔鈴の方に向き直って、「そのグリーンスターってどこにあるのですか?」と会話に割り込んで、勝手に、しかもしっかりと質問してるじゃありませんか。


 一方魔鈴は魔鈴で、ここで助け船を見つけたのか、私を無視してミッキッコに可愛く会釈。そしてその後に返ってきた答えは、まことに摩訶不思議なものでした。

「地球から20光年離れた所に、グリーズ58という太陽にそっくりな恒星があるのよ。その惑星の一つが──グリーンスターなのですよ」

 これにミッキッコは、私の許しも得ずに、「へえ、そうなの。それって、どんな星なの?」と、どんどん質問を飛ばして行きます。そして私にも沸々と興味がわいてきました。


 魔鈴はそんな私たちに真正面に向き直し、長い足をひょいと組み替えて、「グリーズ58が太陽なら、グリーンスターは地球みたいな星でね、人間と同じような《みどり星人》が住んでるのよ」と実にミステリアスなことを。

「へえ、みどり星人がね、それホント?」と私は耳を疑いました。あとは「今までの話しからすると、俺の祖先は……、みどり星人ってことか」と独り言をブツブツと呟くだけでした。


「違うわ、お兄さん、私たちは650万年前に宇宙の彼方より旅してきた民族よ、そう、四神が祖先なの。一番最初に降臨したのが京都の鞍馬山で、この間、佳那瑠さんと悠太さんがその痕跡、つまり当時の空飛ぶ円盤を確認されて来られたでしょ」

 そう言えば、いつぞや、フランス料理のセットランチを食べながら、悠太が話してたなあと思い出しました。「ああ、そのようだね」、私は一つコクリと頷き、今ここで妹と名乗り魔鈴と向き合って座ってるのは、これはひょっとしたら偶然ではなく、必然の為せるわざなのかも知れないなあ、と考え込んでしまいました。


 このように思い巡らす私の姿を見て、彼女の自信の証なのでしょうね、そうでしょと瞳をきらりと輝かせました。

 それからです、淀みなく、「650万年前から年代が移り行く中で、私たちの祖先は鞍馬山からグリーンスターへと移り住みました。そして私たちはグリーンスターで生まれ、お兄さんは物心つく前に、地球に派遣されたのよ。そしてやっと時期となり、同朋のミッキッコさんに佳那瑠さん、そして悠太さんと知り合い、四神倶楽部を結成したのでしょ。それが天から与えられたお兄さんたちのデスティニーなのよ」と。

 私はこんな魔鈴からの講釈を聞いても、話しは大袈裟過ぎだし、所詮私たちの四神倶楽部は遊びの範囲内で、リーダーといっても役回りはアッシー、メッシー、ミツグ君です。


 魔鈴が語る内容は確かに熱い、しかし全貌がまだ見えません。だから私の応答は「うーん、まあな」と歯切れが悪いものでした。魔鈴はそんな私の思考を読み取ってか、これはちょっと手間がかかりそうという風な、少し困惑した表情になりました。

 それでも諦めずに、「だったらお兄さん、憶えてる? グリーンスターってね、地球とはちょっと違うのよ。自転してなくってね、表側は80度の灼熱、裏側は零下40度で氷河なのよ」と話題を変えてきました。


 私は魔鈴のこの作戦にまんまと嵌まり、「えっ、自転してないって? へえ、そんなの過酷すぎだよ。生物が生存できないじゃないの」と思わず目をパチクリ。

 魔鈴にとってこれは想定内のリアクション、それが終わるのを待ってから、ふふふと笑い、「お兄さん、思い出して、灼熱と極寒の間に温暖な帯があるのよ。それはね、グリーンスターの表と裏の境目の地域で、星をぐるりと帯状に巻いているの。そこで私たち生物は生存できるのよ」と教えてくれました。


「なーるほどね」

 ミッキッコと私は同時に大きく頷きました。

「だけどね、そこから眺めるお空はいっつも夕焼け状態で、地球では滅多にしか起こらないグリーン・フラッシュが頻繁に見られるわ」

 私は魔鈴の口からさらりと語られた言葉、グリーン・フラッシュに意表を衝かれました。そして、どこかで聞いた話しを思い出し、頭の中で咄嗟に整理し直しました。

「グリーン・フラッシュって。太陽光というのは、大気に入射すると散乱して、波長の長い赤だけが地表に到達するんだよな。だけど空気がメッチャ澄んでると、波長の短い緑までもが分散せず、目に届いてくる。だから夕陽が緑色に見えるんだよ。そんな現象だったかな?」


「お兄さん、意外にお利口さんね、ご名答よ。私たちが住んでる所は、星の表と裏の境目、だから太陽光は斜めに差してきていてね、それで緑色の夕焼けがよく観測できる星なの。だから、グリーンスターって言うのよ」

 私は魔鈴に、お利口さんと褒められて、ちーと嬉しくなってニッコリと。いや、話しが面白くって、「へえ、魅惑的な星なんだね」ととりあえずヨイショ一発。


 されどもですよ、魔鈴がグリーンスターについて話し始めてから脳にこびり付いている一番の疑問を投げ付けてみました。

「だけど、魔鈴さん、グリーンスターって、20光年も先にあるんだろ。どうやったらそこへ行けるの?」と。

 こんな質問を受けても、魔鈴は動じません。むしろ待ってましたとばかりに、その端麗な顔を余計にきりっとさせました。

「お兄さん、考えてみて、20光年というのは真っ直ぐに測定した距離でしょ。だけどそれはね、単に真っ直ぐに見えているだけなの。本当はね、距離はマジックなのよ。例えば、着物の帯のAの端からもう一方のBの端まで、真っ直ぐ伸ばせば確かに距離あるわよね。だけど、そのディスタンスを幾重にも折り返してみてちょうだい、AとBは近くになるわ。AからBへ、帯の厚み方向で貫けば、その二つの点は、すぐそこにあるのよ」


 うーん、どうも魔鈴は私より賢そう。私はまさに鱗から目が、いや目から鱗が落ちました。

「なるほどね、宇宙レベルの距離も、帯のように折り返して重ねれば、20光年も近いものになるよな」

 私は感服。されども具体的な方法については今一つわかりません。

「で、どのようにして、その折り重ねられた帯のAからBへと、その厚みを旅するの?」

 魔鈴はこのような疑問も当然という顔をして……、返答に自信があったのでしょうね、その表情に白い歯がこぼれました。

「お兄さん、心配いらないわ、宇宙貫通カプセルっていう乗り物があるのよ。それで早速なんだけどね、宇宙旅行社に頼んで、そのカプセル・チケットをここに用意させてもらいましたわ」

 魔鈴はこう話し、ゴソゴソとバッグの中から4枚のチケットを取り出しました。そして、「はい、これよ」と私に手渡してくれました。


 こういうのをきっとトントン拍子と言うのでしょうね。私は魔鈴の手早さに、「えっ、これって?」と目を丸くしました。しかし、魔鈴はこんな私にお構いなしです。

「はい、これがお兄さんの分よ。あとはミッキッコさんに佳那瑠さん、そして悠太さんのチケットよ。今度のサマーバケーションを利用してグリーンスターに遊びに来て下さいね、私楽しみにしてるわ。じゃ、現地でお会いしましょう」

 魔鈴はさっさと、すべての話しを締めくくってしまいました。


 私はあまりの急展開に、ただただ唖然。だが横に座ってるミッキッコ、ニコニコと頬には満面の笑みが零れてます。そしていきなり私の手を握って、ひとりハシャグのですよね。

「うわあ、嬉しいわ、私たち4人でグリーンスターへ慰安旅行するのよ。魔鈴さん、ぜひ訪問させてもらいますから、現地でお会いしましょうね」

 ミッキッコのヤツ、勝手に結論付けてやがって!

 しかし、私はそんな喜んでるミッキッコを見ている内に、こちらまで気分が高まってきまして、「まあ四神倶楽部結成の記念に、行ってみるか」と、その気についついなってしまいました。


 だけど、私はまだよくわかりません。

「ところで魔鈴さん、みんなで訪ねさせてもらうとして、どこのエアポートから飛び立てば良いの?」

 これを聞いた魔鈴がきょとん。そして一拍の間を置いて、「えっ、お兄さん、知らなかったの。仕事ばっかりに没頭せずに、もっと周りに注意を払ってちょうだいよ。佳那瑠さんがそのカプセル駅への扉、どこにあるか知ってるはずよ。もし御存知なかったとしても、すぐ貼り付けて下さるわ」と。

「ふうん、佳那瑠がね。そう言えば禁断の扉とか、彼女、貼り付け上手だからな」

 私はなんとなく納得できました。

 魔鈴は私の頷きを確認し、「それではこれで失礼させてもらいます」と告げ、席を立ち、さっさとロビーの奥の方へと消えて行ってしまいました。


「おいおい、ミッキッコ、魔鈴はどこへ行ったんだい?」

 私は不思議で、横で同じようにポカーンとしているミッキッコに尋ねてみました。すると、「カプセル駅への扉を通って、グリーンスターへと帰って行ったに決まってるじゃん」と、いかにもものしり顔。それからキツイお言葉、「あんたバーカね」と上乗せです。

 まあ、それはそれとして、20光年先にあるグリーンスターへの慰安旅行、これってよくよく考えてみれば、事は一大事ですよね。

「ミッキッコ、今夜、四神倶楽部の臨時総会をやろう。みんなをいつもの居酒屋に集めておいてくれないか」

 私はリーダーとして指示を飛ばしました。

「龍斗、了解よ。慰安旅行の計画作りをするのね。私、どの服、着て行こうかな?」

 もうミッキッコはすっかり旅行気分、声が上擦ってやがんの。


 こうして開催の運びとなった四神倶楽部の臨時総会、メンバーはミッキッコに佳那瑠、そして悠太と私の4人です。私たちは仕事が引けてから、近場の居酒屋に全員集合しました。

 開会にあたって、まずは生ビールで乾杯。それからしばらく各自からの他愛もない近況報告。それから少し酔いがまわって一段落したところで、私はおもむろに本題について話し始めました。

「実は今日の昼休みのことなんだけど、俺の妹だという、そう、魔鈴と名乗る女性が訪ねてきてね、彼女からお誘いがあったんだよ」

 私はここから先の話しが突拍子なことなので、気を落ち着かせるために、一気に生ビールを飲み干しました。ミッキッコ以外の佳那瑠と悠太が耳を澄ましてます。


「そのご招待とはね、20光年離れた緑星、すなわちグリーンスターと呼ぶらしいのだが……。今度の夏休みに遊びに来ないかってね、もうフリーチケットまで頂いたんだよ。みんなどうしたいのか、忌憚きたんのないところを話してくれないか?」

 このように少し慎重に話したのですが、すぐに佳那瑠からの躊躇のない発言がありました。

「えっ、龍斗さん、そうなの。グリーンスターって呼ばれる緑の星があるって聞いてはいたわ、本当だったのね。もち、行ってみたいわよ」

 また悠太は悠太で、「これ、絶体にチャンスですよ。なにかこの旅で俺たちの人生が変わるような気がします。龍斗さん、旅は道連れで、4人で楽しく行きましょうよ」と意気込み充分です。


 それでも私はみんなが暴走しないように、一呼吸おいて、「ミッキッコは、今日魔鈴の話しを横で聞いてたろ。それで今はどうしたいと思ってるの?」と再確認しました。

「龍斗、お昼にお話ししたでしょ、私、もう覚悟決めてるよ。だってチケットまでもらっちゃったんだから、みんなと一緒に宇宙旅行よ、きっと楽しいわ」

 ミッキッコは昼からずっと胸をおどらせていたのでしょう。そして私はこんなみんなの強い意向を受けて、結論付けをしました。

「じゃあ、俺たちの四神倶楽部、その発足記念として、今度の夏期休暇に合わせて、慰安旅行してみよう」


 だが、問題が一つ残ってました。旅への入口がわからないのです。

「佳那瑠、カプセル駅への扉が一階のロビーのどこかにあるはずなんだけど、探してくれないか」

 私は扉の達人、佳那瑠にそう頼んでみますと、「うん、わかったわ、まかせて」と二つ返事でした。

 このようにして四神倶楽部の臨時総会はトントン拍子に進み、1週間の日程でグリーンスターへと宇宙旅行することを決議したのでありました。

 それにしても、どんな旅になるのでしょうね。


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