だった。よくある親をホニャララに殺されでもしたかのよう、という表現を体現してしまう発想とまさかのオチに脱帽。好き。
メチャクチャなようで妙な説得力があっておもしろいです。 いきなり原発の話が出てくるのも、台詞はおバカなのに、人間の頭ってこんなもんだよなーって感じで。 ブッ飛んだ設定の中にしっかりと心を掴まれるリアルさがあります。 印象派もメディアアートも初期に受けた扱いは同じようなものだったと繰り返し語られるのが、権力を味方につけてしまったメディアアーティストもいずれは印象派の年寄り達と同じような終わり方をするのだと暗示しているようでした。
まず読んでみて、序盤からさまざまな違和感を感じます。言ってしまえば、この物語のキモはそうした違和感を読者に持たせることが非常にうまいということに尽きます。果たして石井という芸術家の予想通り、「無敵の人」であった主人公に用意された結末はおそらくこれ以外には考えられないでしょう。芸術とは何か、芸術的権威とは。俗なる価値観と芸術の関係性。「死を与える」暴力的な装置の与える全能感と赦し。短い話ながらも問いかけてくるものは多いと思います。※本来のメディアアートはこわくないよ!
この復讐劇の結末が、復讐対象そのものの肯定であることが驚きでした。主人公が徹底的に復讐対象をバカにし、しかし結果として復讐対象に魅入られることによって、復讐は終わりを告げた。信じていたアートが崩れ去り、メディアアートに縋りつく主人公と、そのメディアアートの陰謀の不釣り合いさが印象的でした。
メディアアートによる殺人の肯定、というアイデアは非常に面白いし、主人公が対峙する立場からあっという間に鞍替えしてしまうのも、興味深い。ただし、治安上の観点から見れば、作中のSCAMという団体及び組織はどう考えてもテロリスト集団であって、この世界では市街地戦が人知れず開始されているのだろうと思う。つまるところ現実世界で、組織犯罪が浸透しているのと一緒で、掩蔽された暴力にどう向き合うか、絡み取られるのを防ぐのがいかに難しいか、ということが勉強できるテキストだと思います。
タイトルのインパクトとそのアイデア、見事なオチに感服。
オチですっきりさせてくれました。
この復讐劇が迎える結末がどうなるのか?と色々と考えつつ楽しく読まさせていただいていましたが、予想を遥かに上回る驚きの結末でした。短いながらも非常に上手くまとめられており、空いた時間にサクッと読める作品だと思います。
復讐のはずが、思わぬ展開に…びっくり。自分を認めてくれる存在に好意を持つのは実に人間らしい。こんな世界なら私は生き残れないかも。
静かに物語が進んでいき、スラスラと読めます。この物語はここにたどり着くのかなと想像しながら読んでいたら……思いもかけない展開に驚きました。
もっと見る