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 SCAMからの帰り道、俺のスマートフォンの待ち受け画面にすでにルグラン嬢の姿はなかった。その代わりとして、とあるフランス人ハーフの女性メディアアーティストがウェブで配布している、自身の性器のjpg画像をバイナリ変換したというテキストデータをダウンロードし、表示させていた。


 もちろんこれはバイナリエディタを使わない限り一見ただの文字の羅列に過ぎないのだが、俺にはこのままでもはっきりと女性器の画像として見えている。淡いピンク色のひだのひとつひとつまで精細に見えるようだ。自分の知られざる才能を発見して、俺の胸の高鳴りは止まらなかった。俺はもう父と母を殺したメディアアートを恨んではいない。むしろ新しい世界の萌芽を感じさせてくれたメディアアートに感謝さえしている。


 今度は俺がメディアアーティストになって、メディアアートを蔑む人間どもを抹殺する番だ!混み合った電車の中で声を押し殺せずに高らかに笑っていると、なにも知らない周囲の人間がまぬけな顔で俺を見て、俺から遠ざかっていくのがわかった。







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メディアアートに親を殺された俺の話 @ome_shima

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