概要
過酷な環境と戦う脆い人間。肉体表現の極北。
-------------------------------------------------------------------------
1999年、角川書店刊行『ザ・スニーカー』小説コンテスト誌面掲載作品に、「てにをは」やちょっとした文言の修正を施した作品です。作品の質を大きく変えるような改変はないので、そうしたコンテストを目指している人が、「質」を判断する時の参考になるかもしれません。
[本編]だけで小説は完結しています。
[掲載号に関して記録されたweb
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!寒い。とても寒い。とにかく寒い。マジで寒い。
許されざる恋をしたノーウェルは、凍てつく雪原を歩く。ただ愛する人といたいがために、かつて英雄が成し遂げたという踏破を目指すが、その道程は過酷なもので――。
ただひたすらに雪の中を歩いていくというだけの作品(※違います)なのに、雪や氷の描写が緻密で、まるで本当に自分がそこにいるような、主人公に乗り移ってしまったかのような臨場感があります。それはもう、荒く細い息づかいや、喉をひりつかせる冷気まで感じられるほどです。体に感じるのは寒さと言うよりも、痛さと言った方がいいかもしれません。まさに「白銀の異世界」に相応しい作品だと思います。
過酷な環境にくじけそうになりながらもノーウェルは歩みを止…続きを読む - ★★★ Excellent!!!リアルな寒さが身を凍らせる。
ここのところ、よく考えることがある。
リアリティってなんだろう。
本当に体験したことを書けば、リアリティなのかな。
きちんと調べたことを書けば、そうなるのかな。
でも、この作品を読んで受け取ったのは
手触り、いや、身体中で感じるリアルだった。
凍土と聞いて、簡単ではないことを知る。
きっと作者だって、こんな厳冬の中を歩いたのではないはず。
この作品書くためにやっていたら、違う意味で凄いけど。
言葉ひとつで、相手に伝えるために
心だけではなく、身体に響かせるような
そんな表現が、読んでいる間 ずっと沁み渡る。
受け取るこちらも、今までの体験を総動員して想像してみる。
寒さが、冷たい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!私見カクヨムのイチ押し作品、これを読まずして何を読む?
本作品を正当に評せるだけの文才の無さに愕然とするが、とにかく読んでみて欲しい。最初の3行だけで、凄さが分かるだろう。
これだけの作品にカクヨムで出会えた幸運に深く感謝したい。
読了後に、しばし溜息、そののち、恋愛・ラブコメジャンルでアップしていた拙作を全て削除したくなった。この作品を前にしたら、全てが色褪せる。
それでも踏みとどまったのは、わずか紙一枚の薄さでも進歩して、氏に学びながら向上できたらという思いが込み上げてきたからだ。
それもまた、この作品の主人公たちの熱い生きざまが引き起こしてくれたものだ。
読了後、こうしてレビューを書くまで数週間を要したことからも、どれだけ心を動かされ…続きを読む