武侠小説の本流

ああ、武侠小説はこうでなくっちゃ!

それが、この作品を読んだ時の率直な感想だった。

映画好きである僕は、ガキの頃「決戦・紫禁城」や「セブンソード」を見て、胸をときめかせた。そして、こんな小説はないものか? と、探して出会ったのが、金庸や古龍が描く武侠小説の世界だった。

それから時が過ぎ、武侠熱が冷めた僕は、時代小説の人になってしまった。
しかし、この「剣侠李白」が遠き昔日の記憶を蘇らせてくれた。


武侠小説の本流とも言える、文章によって!!


例えば「紅袍賢人 第四節 足場なき空中戦」から引用すると――

・李客はわずかに上体を仰け反らせてこれをやり過ごし、追撃の騰空飛脚を低く伏せる燕子抄水の型で潜り抜ける。
・体を捻り、騰空擺蓮脚に似た形の後ろ回し蹴りを放った
・李客の掌打で押し返された元林宗は、今度は椅子の背もたれを蹴って斜上方へ飛び上がる。腰を捻って回転を加え、そして雷霆の如き鋭さを込めて足裏を下方の李客へ。――「落星墜」の技だ。

そう、少年の胸を熱くさせる、必殺技の連呼!どんな技か忘れる事もあるが、脳内で熱いアクションを想像する、それが武侠小説の愉しみ!

嗚呼、愉快哉!

武侠ならではの言葉選び、文章構成は、このジャンルへの深い尊敬と愛を感じます。


こうした作品なんですよ!!読みたいのは!!


好きで好きで書かずには死ねない、熱く迸るパトスが文章から飛び出し、僕の百会穴に騰空擺蓮脚を狙って来るんです(笑)


ほんと、痛快娯楽エンターテインメントです。
オススメ!

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