放課後、美少女と二人きり。差し伸べられた手は、少年を数奇な運命へと導く

 現実世界と異世界「レグルノーラ」を行き来する能力を持つ「干渉者」――クラスメイトの美少女・美桜に導かれ、自分が「干渉者」であると知った主人公・凌。
 凌は現実とレグルノーラ、二つの世界を行き来し、世界に秘められた謎と美桜の抱える過去に向き合っていく。

 思念が具現化する世界・レグルノーラで、異能の力を得た凌が、ヒロインとの距離を縮
めつつ、自らの精神的な弱さに立ち向かう。王道のライト・ファンタジーといえるでしょう。

 異世界へトリップし異能の力を得る主人公。なにやら大きな力を持っていることをしきりに示唆されますが、このレビュー執筆の段階(波乱の予感3まで投稿済み)では、いわゆるチート的な力は登場しません。それどころか、想像を具現化する力をいまだ十分に扱いかねている状態です。一戦ごとに力の使い方を学び、一歩一歩成長していくさまが描かれます。
 能力的な成長とともに、内省的で人付き合いが苦手な主人公の精神的な成長も見られ、主人公の変化とともに周りの人間、特にヒロインとの関係も変わっていきます。

 主人公の成長がじっくり描かれる、地に足についた物語。この手の小説はともすれば中だるみしがちですが、戦闘シーンや世界の謎に迫る伏線が適切に挟まれることで、小気味よいテンポが生まれ、さくさく読み進めることができます。

 キャラクターはしっかり書き分けられており、主人公・ヒロインだけでなく脇を固めるキャラも魅力的。個人的にお気に入りなのは、学級委員の芝山君。詳しくは書きませんが、最初の印象とはまったく違ったキャラでした。

 物語は、主人公が二つの世界を渡る異能者として本格的に覚醒し、仲間も増え、さらなる展開を迎えようとしているところ。今後の更新に期待です。

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