KaoLi

　こちらは本編【壱師の花紅】の、彼らのささやかな日常を切り取ったSS集です。 　本編を知っていると「あ、この時はこうだったのね」や、たとえ知らなくても楽しんでもらえるようには努力…

　雨が、降る。 　紅葉色の雨が、水平線の彼方まで。 　古くから読んで字のごとく、『神の宿』としてこんにちまで営まれている、知る人ぞ知る名旅館『彼岸屋』。 　現当主である彼岸…

【第三章・第二部　完結！】 　東国に位置するスニェークノーチ国は、一年中季節が冬の寒い雪国として知られている。 　三百年ほど前までは『春』という季節も存在していたのだが、現在ま…

　これは二人の物語。 　繰り返される「出会い」の物語。

　そこは魔女と人間が混同する【新大国】――。 　ある時、貴族の出であるハント・ダックアーツは最下層都市である貧民街【ストヴァ】で名の無い少女を買う。 　少女は不思議な姿をして…

　夜は世界に宵闇を齎した。 　日は世界に陽光を齎した。 　月は、双方の世界に浮かび、そして彼らを照らす幻想を齎すことを許された。 　彼らは世界の歯車として、世界を廻す者。 　…

　その年『花都』は、長年因縁関係にあった『氷都』との戦争に敗北した。 　敗戦国となった『花都』には後がない。そこで『花都』は『氷都』にある事を提案する。 「——我が国が誇る『…

　君の記憶が失われていく度に、僕の鼓動は少しずつ聴こえなくなる。 　僕が死んでも君は忘れる。 　僕が万が一にでもこの世界から消えたとしても、君は僕のことを知らないまま世界を生きて…

原案、ネタとして詩のようなものを公開しています！ 筆者の好きな言葉や思った言葉を物語にしています。 フリー台本としても活用できるようにしています（つもり）なので、もしご興味があり…

【完結！！】 　世は戦国時代。乱世を生き日の本を我が物にしようと戦う者が多く生きた時代。 　国を統べようとしていた信長が討たれ、時代の移ろいを感じた奴良野(ぬらの)一族の頭領で…

　……それはひとつの『嘘』から始まった、ある姉弟の『同盟』——。 　カメラの勉強がてら、コスプレイベントへ赴いた「若狭悠」。 　目星のレイヤーを次々と撮影していき、いよいよ本命…

【あらすじ】 　ここは、この世とあの世を繋ぐ神様の為の旅館——『彼岸屋』 　新宿の奥に存在する”神宿”に古くから八百万の神々に愛されてきた老舗旅館である。 　彼岸屋を担うは若き…

　爽籟病——それは、一年のうち、秋しか世界を見ることができない奇病。 　世界で初めてその病を発症した少女・爽子は、今年も目覚めた。 　これは、「僕」と爽子さんの不思議な２か月間…

　今日は待ちに待った、バレンタイン。 　ちょっと甘めな『チョコレート』はいかが？

　一年中が寒い冬のスニェークノーチ国。 　大昔は短い期間だけ「春」が訪れていたというが、その面影はとうに無くなっていた。 「春」を運ぶ竜と云われる春竜が、国に訪れなくなったためで…

かつて西国の果ての島には竜が生きていた。 世界に生きる、最期の竜だ。 その竜が――死んだ。

　これは、梅雨の時期にしか現れない、もうひとりの『僕』の話だ。

　しあわせってなんだろう？ 　例え、君に言えない恋だとしても、僕は君に「好きだ」と伝えたい。 　だれにも知られないように、ひっそりと。 　どうすれば彼女に知られないよう、僕の想い…

　私の家の二軒先にある古いお屋敷には、ある噂があった。 『幽霊屋敷』――クラスメイトたちは口を揃えてそう囁く。 　それはそれは大きな庭があって、私はその庭に咲くツツジに心を奪われ…

　――リータスベル。 　それはロンドンの『裏』の世界。 　世界の境界線から外れた『世界』。 　これは、リータスベルに暮らす吸血鬼の、なんでもない日常と大切なものを取り戻すため…

　ある夏の日。『僕』――柚木始の母が死んだ。 　事故でも、ましてや事件でもない。寿命を全うした死だった。 　遺品整理をしていた時に、ふと見かけた、大きな大きな金魚鉢。 　埃を被っ…

”アリス・リデルに気をつけて――” 　近頃の出版業界では、とある店を取材した記者たちが謎の不審死を遂げている。 　彼らの死体には目立った外傷はなく、何かの毒物を盛られたわけでもな…

王宮直属司書である星藍は「本を喰らう虫」と周りから評されるほどの本好き。 彼女は司書として本と向き合い、そして寄り添う。 この王宮図書館にある本全てを管理し、古くなったものを新し…

　かつてこの世界は、天竜族・陸竜族・海竜族という、三種族の竜に支配されていた。 　世界は、争いの絶えない時代が続いた。 　陸と海は常に敵対し、天は傍観者としてその争いを見ていた。…

　魚波空は9月1日に結婚をする。（以下・ソラ） 　結婚報告の為に実家に帰った彼は祖父からあるものを受け取る。それは、当時高校生の頃に結成していた動画クリエイター集団『アナザーデイ…

　それは三年前、『僕』に贈られた一通の手紙から始まる物語。 　『僕』が彼と出会ったのは高校二年生の秋の頃だった。 　出会いは最悪だった。 　高校二年生の文化祭、ひとのいないはず…

その昔、『四季』という刀工がいた。 彼が作る刀は、季節や持ち主によって、刀身の文様を変えるのだという。 そして、依頼さえあれば彼は刀を手折ることもある。 これはそんな彼の、ある一…

　その村は旱魃に悩まされていた。 　村の領主の嫡子である雪彦は狩をしに森へと足を運んでいた。 　しかしその道中、突然の豪雨に見舞われる。 　雨宿りをしようと森の中を散策していると…

「私、部活辞めるから。」 彼女はそう言って、部室を出た。 彼女は何を思って部活を辞めたのか。 彼女は何故急に部活を辞めると言い出したのか。 その理由を知るには、 相応の覚悟が必…

バサリと揺れるカーテン。 母の頬に涙が流れ、小雨が室内に入る。 ベランダへとつながる大きなガラス戸は開いていて。 私は、どうすることも出来ず、ただ。 ただ、彼女が落ちていく瞬間を…