雪に包まれた国には、長らく春が訪れていない。
万能薬となる竜の鱗を求めた国民の前から、春を告げる竜が去ってしまったからだ。
そんな逸話が残る国の姫リチトゥーラと、彼女に命を救われた青年ロウ。二人の純真さが、王国に再び春をもたらす――。
こちらの作品のジャンルは「異世界ファンタジー」ですが、私は「御伽噺」という印象を受けました。優しく温かい文体と登場人物、そして読者が情景を想像できる余地のある言葉選び。子供から大人まで想像力を掻き立てる、そんな魅力的な「御伽噺」だと思いました。
西の国とロウの過去など、物語にはまだ明かされていない深い厚みがあります。第二章は鋭意執筆中とのことだったので、この優しい御伽噺にゆっくりと浸るチャンスです。ぜひご一読ください!