彼岸屋の当主とその護衛官を巡る和風バディものです。
序盤から、このふたり、まさか・・・?な描写がいくつかあり、それが一体何故なのか考えながら読み進めるのが楽しかったです。鳴の中性的で見る者を魅了してしまうのではと思うほどの容姿はどこかダークで耽美とさえ感じられる物語の雰囲気をよく引き出しています。
作品を一言で表すなら「妖しい」です。謎めいた部分を少しずつ紐解くうちに離れたくとも離れられない、綱渡りのような二人の関係性にどきどきさせられます。安易に、愛や友情という言葉で片付けることはできない、何とも言い難い二人。読み終わる頃にはこの先もこの命の灯が消えないことを祈りたくなる。
彼岸花の朱色に惹きつけられるあなたにこそおすすめの作品です。
改めて日本の四季という美しさ、そして神道という考えの尊さを実感しました。
優しくあたたかい雰囲気に包み込んでくれる文字と、殺伐とした世界へ引きずり込んでくる文章。
作者のKaoLi様が綴る文章がとても力強く、気付けば「彼岸屋」のある世界へと全身で浸っている感覚で読み進めていました。
また主人公である鳴と晴の関係性が儚いようで、誰よりも強い絆を感じます。
この表裏一体がたまらない。
一言、尊いです。
いろいろな神様が登場し、幾重にも重なって進んでいく物語。
世界観は重厚なのに親しみやすく、読みやすいです。
このお話は「冬」が舞台となっておりましたが、できれば作者様の描く四季を私は見てみたいです。
(続編希望です)
ぜひともこの物語を通して、神のいる素敵な世界を体感してほしいです!
最初に。
私は「クソデカ感情」という言葉が好きです。
言葉で表現することを放棄するほど大きすぎる感情。そこには愛もあれば心配や悲しみも混じる。そしてその感情を大きくする「過程」があるからこそ、クソデカ感情はその名の通り大きくなるのです。
本作の主人公の一人である晴は、もう一人の主人公の鳴にそんな「クソデカ感情」を抱いている(大変な私見)。
神様のお宿・彼岸屋の若旦那の鳴と、神様を目的地まで送り届ける役割の晴。この二人を表現する言葉は、幼馴染、親友、兄弟、仕事仲間、恋人etc……とにかく、一言では言い表せない。私なんぞがつついてはいけないほど尊いオブラートに守られている。神聖さすら感じました。
その神聖さの奥底に閉じ込められた大妖怪の影を見た時、きっとあなたは物語の奥行きにゾクゾクする。繊細な情景描写と隙のない世界観にきっと惹き込まれます。
そして今、ふとタグを見たら「共依存」とありました。
唸りましたね、はい。二人は一人なのです……。ぜひ本編を読んで噛みしめていただきたい。
こちら、「最強に尊い!「推しメン」原案小説コンテスト」参加作品なので3万字に抑えてあるのですが、欲望丸出しで言うならもっと読みたい。今回は冬のお話だったので、できれば春夏秋冬の神様のお話とか。そんな伸びしろたっぷりの物語です。
神宿の老舗旅館彼岸屋に、ぜひご来館ください。