とても良いお宿でした!絶対また来ます!

最初に。
私は「クソデカ感情」という言葉が好きです。
言葉で表現することを放棄するほど大きすぎる感情。そこには愛もあれば心配や悲しみも混じる。そしてその感情を大きくする「過程」があるからこそ、クソデカ感情はその名の通り大きくなるのです。

本作の主人公の一人である晴は、もう一人の主人公の鳴にそんな「クソデカ感情」を抱いている(大変な私見)。

神様のお宿・彼岸屋の若旦那の鳴と、神様を目的地まで送り届ける役割の晴。この二人を表現する言葉は、幼馴染、親友、兄弟、仕事仲間、恋人etc……とにかく、一言では言い表せない。私なんぞがつついてはいけないほど尊いオブラートに守られている。神聖さすら感じました。

その神聖さの奥底に閉じ込められた大妖怪の影を見た時、きっとあなたは物語の奥行きにゾクゾクする。繊細な情景描写と隙のない世界観にきっと惹き込まれます。

そして今、ふとタグを見たら「共依存」とありました。
唸りましたね、はい。二人は一人なのです……。ぜひ本編を読んで噛みしめていただきたい。

こちら、「最強に尊い!「推しメン」原案小説コンテスト」参加作品なので3万字に抑えてあるのですが、欲望丸出しで言うならもっと読みたい。今回は冬のお話だったので、できれば春夏秋冬の神様のお話とか。そんな伸びしろたっぷりの物語です。

神宿の老舗旅館彼岸屋に、ぜひご来館ください。

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