昔、小説すばる新人賞の最終候補になった時の
井上ひさし先生の選評が、
書評集としてまとめられて書籍になっている。
https://allreviews.jp/review/1543
これが「ほんとのレビュー」というやつ。
最終候補になると担当がついて、
原稿を編集者と共に修正、推敲するのだが
この時驚いたのが
登場人物を表すディテールとして、例えばその人が着ている服のブランドとか好きな音楽を形容詞として取り入れたら(正確には固有名詞や代名詞というべき?)、
「選考委員の先生方が高齢の方が多いので、意味が分からないかもしれない。ここ、違う言葉にした方がいいかもしれません」
と言われて手直ししたこと。
公募の文学賞はまず第一の関門として
「下読み」の人にウケなければならず、
最後は作家先生にお気に召して頂かなければならないのだ。
結果は残念だったけれども
最終選考会の前に推敲の終わった原稿を送り返した時、
担当者の方が言った
「候補作の中で、編集部では一番評価が高いです」
という言葉は今も胸に残る。