小石原淳

　＊＊＊＊年。巷間で発生する殺人の内、本格推理小説で描かれるような事件の割合が飛躍的に増した。この手の特異な事件の捜査解決を慣れていない警察に代わり、いわゆる名探偵の出番が比例し…

中学生になった純子は、相羽と同じクラスになる。他にも小六のときの同級生が多い。そのせいかどうか、相羽はクラス委員長に、純子も学級委員の一人に選ばれた。副委員長になった白沼絵里佳は…

　小学校教師の貴志道郎は、天瀬美穂との結婚披露宴を約二週間後に控えていた。その前祝いと称して友人達と飲み歩いていた途中、交通事故に遭う。 　死を覚悟した瞬間、助けを求める声がかす…

　自信をなくした高校生男子が名探偵志望の先輩（男）と組み、幾多の事件を解決して行く連作ミステリ。 　七日市学園は多様な才能の持ち主を求める私立高として知られる。異才が集う場である…

中学生の涼原純子が教室に来てみると、親しい男子二人、相羽と唐沢がちょっとした言い合いをしている様子が見て取れた。同じく親しい女子の町田によると、「鶏が先か卵が先か」で言い合いにな…

某大学の推理小説研究会の面々が、船に乗って訪れたのはいわく付きの館。その名を十鶴館という。ある資産家が一人娘の千鶴のために、天才建築家の入善藍吾に依頼して建てたものだが、完成前に…

小学生の不知火ハルカとその親戚の御坊田育人の二人を中心に、言葉で遊ぶ、言葉を語る、騙りのカタログ。そんな事共にまつわる短めの話を並べてみます。

目が覚めると“私”は床に半身で倒れ伏しており、頭の強烈な痛みに顔をしかめた。多量の血が出ていて、身体を動かせない。しかも、目の前の床には、覚えのないダイイングメッセージらしき血文…

殺人容疑で取り調べを受ける男。死亡推定時刻のアリバイを問われてもだんまりを通していた彼だったが、刑事のなだめすかしについに折れる。信じて＆怒らないでとしつこいくらいに念押しした上…

小学生の頃からの幼馴染みで恋人だった歌織を災害で亡くして以来、僕の歯車は狂ったのかもしれない。現在の恋人を勢い余って死なせ、もう消えてしまいたいと思った僕の前に、自称・神が現れ、…

ここではなく、今でもない、どこか別の場所にかつて存在した時空。古代中国風の世界を舞台に展開される、ロードムービー型冒険譚。 東の大陸の大分を占めるヌァイシン国は、西域の強国の一つ…

　高校生になった“私”は約束が果たされるのを待っていた。種に光を当ててくれる人との再会を――。 　小学六年の十二月、クリスマスに合わせて催されたクラスのお楽しみ会で、“私”はクラ…

ある男が屋外で刺され、自宅に駆け込んで鍵を掛けたあと絶命する。男は血文字で“雨”と書き遺していた。男の関係者で“雨”の字とつながりがあるのは一人だけだが、その人物を疑う根拠が揺ら…

中学二年の悠子は、小学校教師の叔父・高梨のアパートに遊びに来たが、テストの採点が終わるまで待たされることに。ついうとうとしていると、不意にそのフレーズが耳に飛び込んできた。 「色…

部室で麻雀に興じる男子大学生四名プラス一人による、トリとめのないお喋り。

司会に“スリーボックス、スリーライン”こと品川品三を据え、レギュラーで放送されているクイズ番組「その英語、どんなカンジ？」。そのとある回の顛末。

自身の名前を入れた、ちょっぴり紛らわしい社名に、社員から文句が出るが、気のいい社長はのらりくらりとかわす日々。 そんな平穏な日常を乱したのは、一本の電話だった。内見で訪れた住宅に…

とある山奥のペンションにて、殺人が起きる。警察に通報しようにも、携帯電話の類は通じない上、予想外の突発事態により辺り一帯は閉鎖状況、いわゆるクローズドサークルと化してしまった。折…

高校生の木川田雪奈は、彼氏でもない同級生・堂本浩一の家を今日も訪問する。というのも、堂本は小説を書いており、新人賞への投稿を重ねている。そんな彼を応援するため＆最初の読者になるた…

　角田は、目の上のたんこぶ的存在だった知り合いの山内を、相手の自宅で殺害した。計画では、あと三分以内にここを出て、駅に向かうつもりでいる。自分が今日、山内宅に来た証拠になる毛髪を…

他の方のお答えと被ったらごめんなさい。偶然です。

　中学生の三鷹珠恵は、伯父の行方教授が行う学生参加の実験を見学させてもらうことになり、その会場となる大学施設のクラブハウスを訪れる。不穏な空気なぞ微塵も感じられなかったのだが、夕…

「お母さんね、昔、魔女っ子をしてたの」――母親が時折、思い出したみたいに口にする話の聞き手は、いつも娘である“私”。小さい頃は興味を持ったし信じかけていたけれども、中学生ともなる…

　六月という中途半端な時季に、純子のいる六年四組に転校生が来た。相羽信一というその男子は見目も性格もよく、女子の人気も高いが、純子は違った。彼が当初、やや行き過ぎのアプローチをし…

ある一軒家に女の絞殺死体が一つ。犯行はまだ発覚していない。 今井優は帽子を被り、マスクと手袋をして、証拠を消し去る作業に勤しむ。 完全犯罪はなったか？

編集者の元木は、担当するベテラン小説家・大河角蔵に電話口で、執筆依頼をしていた。編集部で決めたお題に沿って掌編を書いてもらうという恒例企画なのだが、元木は殊更慎重になっていた。何…

七夕、七月七日の夜。“僕”は一人の女の子を見付けた。彼女が泣いている理由を、僕はだいたい知っている。

ミステリ評論家の男が殺された。容疑者として挙がったのは三名。犯行現場の自宅書斎では愛用のパソコンが起動中で、仕事中に被害に遭ったらしい。その証拠に、パソコンにはワープロソフトで作…

山口と川島、二人の若い男が賭けをしている。飲食店などに二人で入り、先日観たばかりのドラマのさわりの部分を、さも現実に起きたかのように話題にする。それを耳にした第三者が「それ、ドラ…

建築で巨万の富をなした男に死が迫っていた。彼の三人の子は少しでも多く資産を受け取ろうと、床に伏せる父の前で各々の主張を繰り広げる。だがそれらに対して男が意見を述べる直前になって具…

中学や高校で青春を謳歌する若き名探偵達。彼ら彼女らが一つに集うとき、新たな不思議が生まれる！？ ・それはよくある朝の通学風景。トーストくわえて走っていると、角を曲がるや、ごっつん…

かつて某劇団の稽古場兼保養所だった島を、とある企業が購入し、現時点でどの程度使い物になるかをテストすることになった。お試しで島の施設を訪れたのは、買い取った企業の社長の娘・鈴木園…

学校からの帰り道、たまたま拳銃を拾った女子高校生。届ける間もなく、男に襲われた。選択肢は一つだった。 天の配剤のような一連の出来事。そこにはもちろん裏があった。

学生で探偵としての実績もある天乃は、助手役の後輩・岸崎とともに、クッキングサークルの合宿に同行させてもらうことになった。初日は暗号解読イベントを挟みつつ、和やかに過ぎる。が、翌朝…

※本作は、第十九回ミステリーズ！新人賞に投じた拙作二つの内、箸にも棒にもかからなかった方の作品になります。こちらのサイトにＵＰするに辺り、章分けしました。 ※2023/06/22…

特殊詐欺犯罪に加担し、有罪となった未成年者達。彼ら彼女らを矯正するという目標を掲げ、国の肝いりで始められたのが獨交学園である。しかし国の方針が変わり、学校の目標・目的も一変させら…

※投じた賞の名称からもお察しの通り、本作は前世紀に創元推理短編賞に投稿するもあえなく敗退したものです。 ※限定コンテンツとして近況ノートの方に上げていましたが、ちょうどよい機会…

人気漫画家の邸宅でクリスマスパーティが開かれ、友人知人らが集まる。一夜明けて、邸宅の近くで男の遺体が見付かった。それは用事ができて急遽、昨晩の内に邸を辞した真理夫だった。タクシー…

　古代中華風の別世界。雨上がりのとある街にて、夜が明けきらぬ時分から、茶屋の女主人の自宅より出火。鎮火はなったものの、焼け跡を調べると男女二人の遺体が見付かった。女は首を吊り、男…

※ネタバレ注意 ＜キャラクター設定＞ アイバン：日本名、相羽信一《あいばしんいち》。十五歳、学生。母・詩津玖《しづく》とマンションで二人暮らし。父とは死別。学業優秀だが国語だけは…

　公子は小学六年生のとき、好きな男子・秋山から告白された。もちろん嬉しかったけれども、まだ自分達には早いという思いが勝り、やんわりと断ることを選んだ。翌日、学校では告白の一件が噂…

中年男性が夜中、公園の出入り口のところで休んでいると、小学生ぐらいの子供が近付いてきて言った。 「ねえ、おじさん。買ってよ」 ※展開に迷っている部分があるため、全くの気まぐれ更…

とある高校のミステリ研の部室でのこと。部員の一人、栗栖がクイズを作ってきたと言って、ホワイトボードに“虚数よ、私は駄洒落に目覚める。”と書いた。この少々変な一文は果たして何を意味…

ネットで知り合った「筋肉大好き女子」な人達が初めてオフ会を催したときの出来事。

九州は鹿児島の一軒家で、男女二名の変死体が見付かる。当日夜遅くに桜島が噴火したため、事件現場の一帯も灰が降り注いでおり、そこには足跡などの形跡は一切なかった。いわゆる密室状態であ…

他の方のお答えと被ったらごめんなさい。偶然です。

彼氏の真人は無駄遣いを嫌うけど、“私”だけは別格。だって、“私”を心配してくれて、部屋に盗聴器の類が仕掛けられていないか、専門業者に頼んでくれたのよ。もちろん費用は真人持ちでね。…

大型書店でバイトをする梶尾裕美は、奇妙な体験をした。お客に呼ばれて行ってみると、文庫本のコーナーの一角が、真っ白になったように見える。阿馬一吉という作家の全著書が、前後逆向きに入…

人類存亡を賭して七名の魔法使いに七人の名探偵が挑んだ。その結果……探偵の一人、堀馬頭写楽は何故か魔法のある異世界に飛ばされる。しかも記憶を部分的に失った状態で。医師のワトソンなる…