「掌編 愛」を含む小説

概ね、今の生活には満足していた。 毎日の仕事は気怠いながらも奴隷のように使われるわけでもなく、週に2回の休みと20万前後の給料が貰える。家族を養うには幾分不足しているが妻が働きに…

優しさを避ける彼女と、距離感に悩む幼馴染と、巨大なパンダのぬいぐるみ。 創作百合／掌編小説／noteからの再掲（加筆修正済）

桜の花びらが語るのは、戦乱に散ったひとつの誓い。 季節が巡るたび、彼は同じ夢を見る—— それは前世の記憶か、それとも、永遠を求める魂の声か。 時を超えた愛が今、静かに目を覚ます。

占いは信じないタイプ── でも、不意に訪れたアメ横の一角で、 不思議な“灯り”に呼ばれるようにして座った椅子。 篠原拓海は、占い師の語る「運」の仕組みに、 思わず耳を傾けてしまう…

僕には彼女がいる。 性格が良くて、そのうえすごい美人な彼女。 僕は彼女を愛している。 でも彼女は、僕に何か隠し事をしている気がする。 彼女は僕を、どう思っているのだろう？ そこに…

※時代想定は昭和初期。戦前エス文学幻想詩文をイメージして描きました。とある姉妹が永遠の誓いを果たしに海に向かう前に交わした、最後の書簡を描いた掌編です。

可笑しく首をひねる扇風機も、草木にとまって愛を囁く虫たちも、その鈴の音に耳をすまして、静まりかえっている。

『変な花束』のお題で書いた即興小説（時間切れ）です。何でも食べ物の話に変換する作者が書くとこうなる。

ひとりきりの夜。 聞こえるのは、雨垂れの音だけ。 いつの間にか、私はその音に沈み、 忘れていた想いを、そっと呼び起こす。 私の隣には、あたたかな人の気配。 私は、あなたに出会…

　無邪気で素直で、誰よりも愛おしい君。 　そんな君といられる私はとても幸せなのに、ふとしたときに心の片隅に暗い欲望が訪れる。今に対するぼんやりとした不満、将来に対する微かな不安が…

これは、恋をして、夫婦になって、 それでもなお「君が好きだ」と思い続ける僕の、小さな愛の記録。 ふたりなら、特別じゃない毎日が、こんなにも愛おしい。 手をつなぐように、そっと日々…

夕暮れの図書館前。しゃべる犬と出会った。

意味のない慰めの言葉は言わず、うすっぺらい疑問も口にしないレイと「あたし（”ミドリ”）」の愛の数時間とごめんねの話。 正体のわからない、自分の心に眠るどろどろとしたものを認めて、…

デートでやらかした男。一日をやり直せる時計を手に入れて、人生の歯車が回りだす。

少年フールと少女ラッフィーのあいだには、小学生時代からの男女を超えた友情があった。 フールがラッフィーに抱いてしまった特別な感情と彼の決意とが、二人を離れ離れにしてゆく。 大…

昔好きだった女が弁護士になっていた。 それを知り、愛が憎しみに変わった。自分が見下されていると感じたからだ。

文章リハビリ。煙草がお題。歳の差の相手を追いかけたあの頃覚えた煙草の味。

セフレ彼との情事後、ひなみはすぐに帰ることになり……。

かつて彼が住んでいた街。そこを通るのは避けてきた。記憶が蘇り、苦しくなるから。 音信不通で行方知れずの彼への未練、そろそろ断ち切らないと。だけど未だに残る彼への愛を断ち切るのは、…