「名前を呼ばれたい」を含む小説

この世界は何もかもあべこべでした。 そう、例えるなら おとぎ話の女の子が男の子になっているような。 何でもありな夢の世界だけど、 それ以前になんだか様子が変なんです。 君が…

「誰かじゃなくて、あなたがよかった。」 オフィスにひとり残る夜は、決まって雨が降る。 肩にかかる髪を、無造作にクリップで留め直しながら、 澪は静まり返った空間に、微かな機械の…

『〝菜々子さん〟の戯曲《シナリオ》』は、二〇一〇年に角川スニーカー文庫より二巻まで刊行されたライトノベルです。また、二〇一九年に電子書籍版も配信開始されました。その後ながらく未完…

ある日を境に、僕は「いないもの」として扱われる。呼んでも応えはなく、名前も呼ばれない。教室と夕焼けの校庭で積み上がる違和感の行き着く先は――。

【レトロニム】 元々ある名前で呼ばれていた事物が、時代の流れで現れた新しい物にその名前を奪われたことにより与えられた新たな呼称。 例： レッサーパンダ（元々はパンダ、パンダと言…

内気で目立たない高校生・桜井 ひなた（さくらい ひなた）は、図書室でいつも同じ席に座る「声が綺麗な男？子」に密かに憧れていた。 彼の正体は、クラスで人気の神谷 悠真（かみや ゆ…

あのね、私君のこと好きだよ。 小さく、お世辞にも綺麗とは言えないその手紙、その文字。 全て愛おしい。 あぁ、俺変わったな。 俺はスクールバッグを持って外へ出た。

ヴァーレン王国 前歴256年ユーリ一世により建国 神歴572年ピュリアス三世の宣言により2726年の王朝に幕を閉じる。 「彼の国は長くの間、唯一の国として君臨し続けてきた、それ…

「私の名前を呼んでくれたのは、あの子だけだった。」──夢見がちな王子と、夢を見ない従者の、ちょっと皮肉で優しい主従譚。 「精霊さん」と呼ばれ続けた従者が、自分の名前を取り戻すまで…

小学二年の冬、母は弟の名前だけを呼んで家を出ていった。 置いていかれた私の人生は、“可哀想”ではなかった。 跡取りとして選ばれた弟と、選ばれなかった私。 母に似て、淡々と受け入れ…

瀬戸内海に浮かぶ小さな離島・青嶋。 祖母の遺品を整理していた大学生・結城翠は、一冊の古いノートと、繰り返し現れる“潮のうた”に導かれ、島へと渡る。 そこで彼女を待っていたのは、数…

百年前、彼女たちは「死んだ」はずだった。けれど今、ふたたび目を覚ます。機械の身体で、生まれ変わるように。 昭和7年に生まれ、戦中を生き、ある日突然姿を消したふたりの少女。 時を超…

あるときふと、思いました。 乙姫様はなぜ、浦島太郎に「決して開けてはならぬ」箱を渡したのだろう、と。 その疑問から、生まれた物語です。 たとえ忘れられてもいい。 名前を呼ばれ…

名前を呼ばれず、痛みでしか存在を実感できなかった少年・千尋。家庭内暴力、いじめ、孤独の中で、“殴られること”に救いを見出す。高校生になり、殴られ屋として「売れる痛み」を提供する日…

花の記憶シリーズ第J弾(全26作品) 月に一度の“裏ルール授業”──学年を越えてカップルを作る、少し風変わりな制度。 形式だけの関係で始まった先輩と後輩のふたり。 だけど台風の…

墓地で目を覚ました彼女は、恐怖と冷気に包まれ、何も思い出せない。 ただ、闇の囁きだけが耳に響く。 そして虚無を裂くように、自分の名前が呼ばれた瞬間——彼女ははっと目を開けた。 現…

　17歳の少女、香坂葉乃はとある理由により出来る限り人目を避け生きてきた。高校は退学、家にも居場所などなくほぼ虚無のような心を携え屍のように生きていた。 　すると、ある宵の頃―…

名前を呼ばれたのは、 たぶん、俺じゃなかった。 だけどこの夜を越えるために、 誰かの代わりに笑って、生きて、傷ついて、 俺は俺をやりきった。 飛べなくても、いい。 これは、飛…

もしも、誰にも名前を呼ばれなくなったら。 もしも、知っている人が、あなたの存在を忘れていったら―― 伊勢の山奥に残る“封じ籠”の儀式と、女だけが消えるトンネル。 名前に宿る呪いが…

大学を中退し、引きこもり生活を続ける冴えない二十代の男・凪。 社会にも未来にも興味を失い、深夜にふらりと立ち寄った公園で──彼女に出会う。 髪を揺らし、明るく笑うその少女・瑠璃…