「#円城塔賞」を含む小説

　遍（あまね）く万物を照らすのが、私の大切なお役目。それでも、必ずどこかに影は落ちる。私はそれを、単なる努力不足のせいだとばかり思っていた。年の瀬が迫ったある日、あの御方に「見付…

　何でもできる死にたがりの少女と何も持たない欲深き少女のひと夏。

全裸でカップラーメンを食らうことで、主人公はある意味で世界の果てに辿り着いてしまうという物語です！

街では、スマホアプリで感情を貸し借りすることが日常となっていた。 不安な朝には『安心』を、疲れた夜には『喜び』を。 ほんの少しの課金で、誰もが心を取り替えることができる。 僕…

西暦751年、黒衣大食（アッバース朝）のホラーサーン総督、アブー・ムスリムは唐の安西節度使・高仙芝が西域──石国を荒らし回っていることを聞き、麾下のズィヤード・イブン・サーリフに…

紫衣事件により、出羽上山へ流罪となった沢庵。その沢庵を護送するのは、親友・柳生宗矩の息子である十兵衛だった。 十兵衛と沢庵は互いの武芸の心得のあることを認め合い、囚人とその護送で…

私は幼い頃、お友達の家で天使と遊んでいたことがあります。その天使は、私やお友達からは見えているのに、なぜか大人からは見えていないようでした。本当に天使っているのでしょうか……

洋上に取り残された、地図からも消えた廃棄海上都市。 完全無人のはずのその都市から、今も「人口：10,284名」「行動ログ更新：最新」という報告が上がり続けている。 若手研究員・…

祖母の葬式のために久しぶりに田舎に帰省した大学生の遥。祖母の部屋の整理をしていると、不思議な手紙を見つけてしまう。手紙の謎を通して、遥は何を見つけ出すのか。その心温まる真相とは。

「私」は、天才と謳われたジューガー・リャンが何をしたかったのか知りたくて、ある秋の日の昼下がりに、かつての彼の主を訪ねる。その面会の中で、「私」は、今は亡きジューガー・リャンがや…

新人戦も終わった秋、高校2年の悠は、部活を辞める決断をする。 彼が辞める理由とは―

千葉県にある教習所に免許合宿にきた私は、エアコンの室外機に野花が置いてあることに気づく。毎日と変わる花の謎を追った先に、予想もしない結末が待っている。

この世界には、生まれてから髪が伸びて一定の長さになると女の子はポニーテールをきつく結ばなければいけないというルールが存在する。一度きつく結んだポニーテールは簡単にほどくことができ…

知恵熱を出してしまった鹿野秋子は、 保健室で一人の女生徒に出会う。 一つ学年が下の彼女は、 発熱と解熱を自在に操れる、 仮病使いだった。 彼女は秋子に、自分の上靴が毎日、 泥だら…

現代の街に溶け込み、カウンセラーとして活動する「彼女」。しかしその正体は、古の時代から人間の欲望を糧に生き長らえてきた、人ならざる捕食者だった。 相談者の心が軽くなるほど、「彼女…

仕事で体も心も疲れ切った営業職OL・灯梨《あかり》。 春浅いある日、彼女がふと目にしたのは、公園のベンチの後ろに咲く二本の桜の灯だった――。 毎年、春になると咲き誇る桜の花。 …

クローン製造の世界的権威というわけの分からない物理学者が死んだ。事件なのか事故なのか捜査にかかった田中警部補とその後輩井上巡査部長はさらにわけの分からない事態に直面する。捜査資料…

夏になると思い出す、あの鮮烈な赫い色。 囂しい蝉の声。炎天下の道の先には陽炎が ゆらゆらと立ち昇る。 その　家　は、凌霄花が繁茂していた。 庭も屋敷も全てを紅蓮に染め上げながら、…