運命がみちびく、不思議で愛おしい二度目の少女時代

 ある日突然、ゆったりとしたおおきな流れのなかに取りこまれた女性の成長譚です。

 社会人生活から一転、自然にかこまれた古民家で十歳の少女になって目ざめたヒロインの寧さんが、大人や子ども、妖怪たちと個性ゆたかでひと癖のふた癖もある人々かこまれて、なくした過去を取りもどしながら、土地を見まもる存在である「あまね」として成長していく姿が、やわらかな筆致でえがかれていました。

 いいことばかりではなく、いやなことやつらいこと、腹だたしいことにも、寧さんは数おおく遭遇しますが、物語を読みおえたときにはきっと、すずやかな山の風をかんじられるはずです。

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