概要
縁側、囲炉裏、妖怪(おまけ)つき。そこが私の家となった。
25才になりたての初夏、古く落ち着いた家で、私は細く小さな10才の少女に戻っていた。
すべてを「見る」というおばあさんから告げられたのは、自分が彼女のあとを継ぐ者として生まれた事実。普通でありたいとの願いむなしく、秘密を隠し持つ偽の小学生の身となり、待ち受けていたのは非日常の暮らしだった。家にはとんでもないオマケがついていたし、何気に死にそうになるし、学校ではなぜか担任と折り合いが悪くなっていくし、初めて足を踏み入れた里では……
そんなある日、私はあの人の正体に気づく。明かされる、記憶から消え去っていた過去。戻らない代償。消えない傷跡。なぜ里から離れて大人になってしまったのか、その理由は──
「あまね」を継ぐ者として生きる、1年目の物語。
旧題「いつか目になる私の、その始まり」 1話3000字未満です。
すべてを「見る」というおばあさんから告げられたのは、自分が彼女のあとを継ぐ者として生まれた事実。普通でありたいとの願いむなしく、秘密を隠し持つ偽の小学生の身となり、待ち受けていたのは非日常の暮らしだった。家にはとんでもないオマケがついていたし、何気に死にそうになるし、学校ではなぜか担任と折り合いが悪くなっていくし、初めて足を踏み入れた里では……
そんなある日、私はあの人の正体に気づく。明かされる、記憶から消え去っていた過去。戻らない代償。消えない傷跡。なぜ里から離れて大人になってしまったのか、その理由は──
「あまね」を継ぐ者として生きる、1年目の物語。
旧題「いつか目になる私の、その始まり」 1話3000字未満です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!運命がみちびく、不思議で愛おしい二度目の少女時代
ある日突然、ゆったりとしたおおきな流れのなかに取りこまれた女性の成長譚です。
社会人生活から一転、自然にかこまれた古民家で十歳の少女になって目ざめたヒロインの寧さんが、大人や子ども、妖怪たちと個性ゆたかでひと癖のふた癖もある人々かこまれて、なくした過去を取りもどしながら、土地を見まもる存在である「あまね」として成長していく姿が、やわらかな筆致でえがかれていました。
いいことばかりではなく、いやなことやつらいこと、腹だたしいことにも、寧さんは数おおく遭遇しますが、物語を読みおえたときにはきっと、すずやかな山の風をかんじられるはずです。 - ★★★ Excellent!!!日常が丁寧に流れてゆく、心地のいい妖怪譚
とにかく雰囲気がいい物語です。若返って小学生になった主人公が、おばばや妖怪とともに、のどかに暮らしていく物語。ですが、それだけの物語ではないのです。主人公を取り巻く環境、学校で起こるいくつもの出来事、魅力的なキャラクターたちが生み出すドラマ、と書ききれないくらい魅力が詰まった傑作長編です。
落ち着いているけどとても読みやすい語り口、キャラクターの多彩さ、風景描写のきれいさ、そのすべてが相まってとてもいい雰囲気を作り上げています。
あくまで日常生活をベースにしているところが親近感を抱かせ、出てくる料理の数々がまた楽しく、長編でも飽きるところがありません。気が付くと物語の一年があっという間に過ぎ…続きを読む