最期を託す(10首)

何が来る不在票かを忘れても2時から4時はじっとしている


ケータイを逆パカしたね逆パカができるケータイ持ってた頃に


親族がしていたあれがつい最近カスハラという名で知られてる


葬儀などしなくていいがかにグラタンみたいな骨壺なら入りたい


祖母が梅を漬けてた壺がどこにでもあるデザインと知ったさみしさ


祖母の名を祖母に訊く孫そのように祖母の名前を知った日がある


五日目の蝉が来たので三日目の蝉はチャンネル権を譲った


母でない母を知りたくなるけれど母が嫌がるのでやめておく


親族の誰も要らない山林にのりたまのたまのように菜の花


握力の強い家族にぺらぺらの歯磨きチューブの最期を託す

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