祝日(19首)

相席でいいんじゃないと君はいいわたしの足に風を履かせる


軽く何かつまみませんかと言ったのちつまんでみたいあなたの鼻を


そういえば乗ってくるとき変だった その客が吐いてから思い出す


気をつけて生きてそれでも干からびたヒトデの溝にぎっしりと石


アパートのトイレを点検してくれる業者の人の髪質が良い


アメリカの草どこにでも生い茂る祝日みんなで生き残りたい


知っているキャラの痛車が通ったらうれしい知らないキャラでもうれしい


道の駅の手描きのマツコ・デラックス本人よりもやや童顔の


十円で買える餌すら買わないでオーラで鯉を集めたかった


赤ちゃんの時に行ったと知らされる初めてだったはずの洞窟


豚の、というよりはすっかり豚肉の解体ショーの成り行きを見る


若竹を踏み折るような音を立て豚の肩肉外されてゆく


横書きのソフトクリームの看板の【リ】から【ム】まで蜘蛛の巣かかる


頑張っても六十ちょいで死ぬ予定 前の車が遅くてやばい


君のため花は残れよ中華まんケースのような街に水滴


ああ君の実家も夏か流星の軌道のような茄子を撫でれば


一粒のイチゴの種を鉢植えへ たとえ夢でも浮気はきらい


プリクラのべらんべらんのカーテンをめくった瞬間から好きでした


海中で出会ったとしても好きになるハンドサインの手の綺麗さで

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る