よく自分に言い聞かせる言葉があって、「お前は何も見なかった」です。

２０２４年９月２９日。牛脂をくれる店はまだある

家にいるのに帰りたいって思うかも一度めちゃくちゃきれいにしたら

実家から卵を盗むそのためのキッチンタオルと輪ゴムも盗む

イベントの気配を見かける日曜日なんのイベントかは調べない

まあだだよまあだだよって新５００円玉使わせない両替機

人前で仲直りさせられるきょうだい　米も米油も高すぎる

疲労には心地よいのもあるらしい牛乳は臭いから飲めない

ぴっちりと顔にパックをした母が風呂場までパソコンを借りにくる

浴槽に垢をひろげる要領でインターネットに言葉を流す

道徳の教科書が来てすぐに読み何ひとつ実践していない

鳥っぽいものが死んでて近づくと鳥ではないし死んでもいない

２０年前って２００４年かと思うとなぜか安心できた

一回で全部食べたい　一回で全部食べたいことがくるしい

まだ何か言うつもりなの？チュチュアンナの袋をカニの殻入れにして

玄関の前で落としたから鍵をきちんとかけた記憶が残る

次に行く観光名所の☆１の長いレビューを抱きしめて発つ

音のなる秋刀魚のおもちゃで祖父をぶちそのまま腕のなかで眠った

うんこだと思った臭いを学生がザリガニと言う美しい夏

犬かわいい　犬を初めて見たときにどう思ったか思い出せない

「鉄板が大変お熱くなっております」　大変だ、うれしい、気をつける

孫の持つバッグを欲しがる８０代そういう８０代になりたい

丸まった毛布の上に座ったら窓の明かりがいい位置に来る

日曜にベッドでもつ煮を食べてからもつ煮のしみの上で寝ている

相続は放棄できると知ってから世界が少し明るくなった

ただいまはただいマッチョになりやがてただのマッチョとして帰り来る

戻らないばかりの夏に家の鍵きちんと閉めてきて偉かった

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