「スケロクダミー」(10首連作)

今きみにバンドしようと言われたら勢いで断ってしまいそう


聴かせたい人もいないし眠たいしなんでバンドがしたいんだろう


好きな歌みたいな歌が作りたいどんな歌かはうまく言えない


バンド名だけはあるんだ 抱き締めたいけれど小さすぎるぬいぐるみ


音楽をみんなを喜ばせるためじゃなくて自分が喜ぶために


チューナーをどこかに落とす 音楽に身分違いの恋をしている


ああ別に突き抜ける必要なんかなくて爪だけいつも短い


音楽が流れる脳で仕事する全然先に進まない仕事


一度でも覚えた歌をもう一度覚えることはむずかしくない


諦めるために始めたわけじゃない予備の弦のひかりは鈍いけど

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