10日目 飼育当番
8月19日 天気 曇りのち大雨
今日は夏休みの当番。学校で飼っているヤギさんの世話をするのだ。
聞く話によると、ヤギさんはかれこれ30年近く学校で飼われているらしい。僕はヤギさんのためにキャベツとニンジンを炒めた物を弁当箱につめ、街の天然水と一緒に鞄にいれた。
ヤギさんの家に入るためには手順がちゃんとある。
まずはインターホンはしっかりと鳴らします。
機嫌が悪かったりタイミングが悪いときは「メェ~」と言われるので、その時はしばし待ちます。
次に玄関で靴を履き替えます。土足で入っちゃうのはマナー違反だよね?
部屋に入った後は、散らかっている床を綺麗にします。ヤギさんは綺麗好きなので、意外と部屋は汚れていません。
この後が大切なのです。
ヤギさんといっぱい話をします。
ヤギさんはお喋りです。僕はヤギさんと宿題の事について話をしました。
「ヤギさん。算数の宿題で米子先生の問題が何だか凄いんだ」
「米子か。あれは子供の頃からスゴかったからなぁ」
米子先生も僕の小学校の卒業生で、ヤギさんの世話をしていました。やっぱり子供の頃から凄かったんだ。米子先生。
「ヤギさん。ヤギさんはいつからヤギさんなの?」
「あぁ、昔は色んな呼び名があったけど、米子が当時好きだった八木先生の名前を俺につけた時からだな」
なんと。ヤギさんの名付け親は米子先生だったのか。
それにしてもヤギさんは凄いな。空も飛べるし喋れるしなんでも知ってるし。僕もヤギさんに言葉を教えることにした。
「ヤギさんヤギさん!」
「なんだい?」
「新しい言葉を覚えて!」
「どんなんだい?」
「飛べない鳥はただの鳥さ」
「飛べない鳥はただの鳥さ。どうだい」
「すごーい!!」
「あっ、やめてやめて。そんなにしないで!」
「???」
流石ヤギさん!伊達に30年も飼われてるだけのことはある。でも、僕知らなかったなぁ。インコって30年も経つと人語を理解して話せるようになるって。お母さんに教えてあげよう!
僕はヤギさんにお礼を言って家に帰った。
お母さん!知ってる??学校にいるヤギさんのこと。
えっ?なぁに?ヤギさんが「あっ、やめてやめて。そんなにしないで!」って言わないかだって?
えっ?お母さんが飼育当番でヤギさんの部屋を片付けた時に自発的に喋った言葉だって?
そっかぁお母さんも、卒業生だったもんねぇ。確かにお母さん。お片付け下手だもんなぁ。
妄想的夏休みの宿題 10日目
飼育当番 お母さんの過去が分かり終わり!
続く。
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