妄想的夏休みの宿題

18日目 平穏は突然に

　8月27日　天気晴れのち曇

　知らない朝がきた。

　つまり、米子ループから抜け出したのだと僕は歓喜に震えた。三日坊主もお爺ちゃんも来ない、新しい朝だ。

　昨日はあれから米子先生の行動が凄かった。

　孝と叫び飛び出した米子先生は、世界の中心で自己中心的に愛を叫んでいた。

　重たいってそう言うとこだぞ！と思ったけど、社会のプリントの解答で愛を叫ぶ、孝先生も大概なので見ないことにした。

　何にせよ、その日の午後。僕の家に小指を絡ませた米子先生と孝先生が来たことが、この夏1番のホラー体験だった。

　今日はこのループを出るためのアドバイスをくれた、ヤギさんに会いに行った。

　でも。

　ヤギさんの飼育小屋（いえ）の様子が違った。

　ヤギさんの家は普通の飼育小屋になっており、ヤギさんの看板も三代目ヤギさんとなっていた。

　勿論、言葉は普通のインコ程度しか話さないし、会話なんて出来なかった。

　多分、米子先生の中で何かが大人になったんだろう。

　僕は、寂しい気持ちを抱えたまま、三代目ヤギさんに「ありがとう」って伝えた。

　ヤギさんは何にも言わなかったけど「気にするな」って言ってくれている気がした。

　僕はそのまま、家に帰った。

　そして、平穏は簡単に崩れ去った。

「あんた、明後日から学校だけど宿題は終わってるの？」

　終末を告げる悪魔（おかあさん）の台詞だった。

　何をバカなことを言っているんだい。夏休みは8月31日までじゃないか。

　えっ？それは昔の話だって！？

　僕はまだ読書感想文が終わってないことに気がついた。

　夏休みは後1日。

　妄想的夏休みの宿題

　18日目　動き出した日常

　続く。