17日目 Loop Summer Vacation ⑦

 8月26日 天気 晴れ


 朝6時。目覚めに1句。


 夏の朝

 ドアの前には

 ヤツがいる

 5時からいたと

 米子は笑う


 どうも。ラジオ体操に行こうと開けたドアの前には米子先生がいました。意図せず、国語の宿題の短歌も出来ました。

 さて米子先生ですが5時から待っていたみたいです。インターホンを鳴らさず待っていてくれただけ、感謝です。


 そのまま僕と米子先生は公園に行き、ラジオ体操をしてきました。

 ラジオ体操第3までする!!って駄々をこねる米子先生を連れて帰るのに苦労しました。

 何とか連れて帰った後は、当たり前のように我が家で朝御飯を食べ、おかわりを3回していたことにはドン引きです。

 あっ、食後にはミロが飲みたいとオーダーしたことにもドン引きです。


 さて、かれこれ6時から5時間程たった、11時のことです。米子先生とずっと一緒にいますが、もうお腹いっぱいです。紆余曲折ありましたが、本題に入れたのは全てが落ち着いた時のことでした。


「ねぇ、そろそろ重さの証明をしましょうか?」


 本題の話をふってきたのが米子先生だったことにも、釈然とはしません。


「米子先生、重さの証明は今日の朝から行動が全てです」

「どう言うこと?」


 やっぱり、米子先生には通じません。しかし、僕の本題はこれではありません。


「米子先生、それよりももっと大切な話があります」

「なぁに?」


 先生の猫なで声のなぁに?はあんまり聞きたくないけど、僕は答える。


「孝先生とのことです」

「なななななななななななななななななななななななななな、なんでたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたかたか孝先生?孝がどどどどどどどどどどどうしたの?」


 えっ、何これ。ちょっと怖いんだけだ。

 それでも米子先生の本当の悩みを解決するためには仕方ない。僕は社会のプリントを取り出し、米子先生に見せた。


「米子先生、この問題を解いてください」


 米子先生は宿題の社会のプリントを見てこう言った。


「夏休みの宿題は自分でするんだぞ♪」


 しばくぞ、こいつ。

 とは言わずに僕は黙ってプリントを指差した。


 ①地名を答えなさい。

 鳥取県内で県庁所在地の鳥取市に次いで2番目に人口が多い市であり、人口密度は山陰地方の市町村では最も高い。江戸時代初期から商業都市として発展した。山陰両県の中央に位置する。

 解答『    』


「これは簡単ね。米子よ」

「じゃあ次」


 ②環境問題について( )を答えなさい。なお(  )には同じ言葉がはいるものとする。

 近年、進む環境破壊の原因ともなっている。酸性雨を引き起こす工場の煙や排気(  )。またオゾン層の破壊に繋がるフロン(  )。地球温暖化の原因でもある温室効果(  )。

 解答(    )


「これも簡単ね。ガスよ」

「じゃあ次」


 ③何かを答えなさい。

 日本の伝統的産業や住宅の材料にも多く使用されており、その種類には杉やヒノキ、カラマツ等がある。さて、これは何か。1文字で答えなさい。

 解答(   )


「これは難しいわね?何かしら」

 おいおい、何で先生になれたんだ?

「先生、これはですよ」

「そっかあ!木ね!」

「じゃあ最後」


 ④問題文を読んで食べ物を答えなさい。そしてその答えを叫んでみましょう。

 現在のイランを起源とし、その後メソポタミア、古代エジプト、インド亜大陸に伝わった。小麦粉と塩、水、酵母を主材料とする。カレーとよく食べられるため、インドの主食だと思われがちだが、インドではそれほど食べられていない。

 解答(   )だ!!


「ふふふ、私をなめないでね。答えはパンよ!」

「ナンです」

「ナンよ!!」

「じゃあ問⑤を答えて」


 ⑤ 問①から④までの解答を読み上げましょう。

(      )


「えっと、米子ガス木ナンだ。米子ガスキナンだ。えっ、ちょっとまって!!米子が好きなんだ!!」


 突如流れる東京ラブストーリーのテーマ。ラブストーリーは突然に。


 マジで突然だ。


 米子先生は、孝~と叫ぶと家を飛び出した。



 どうか、明日がきますように。

 僕は願わずにはいられませんでした。


 妄想的夏休みの宿題

 17日目 Loop Summer Vacation⑦


 ループの終わりは突然に


 続く。

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