3日目 お爺ちゃんが来た!

 8月12日 天気 酷暑


 今日は何とお爺ちゃんが遊びに来てくれた!お爺ちゃんはいっぱい遊んでくれるから大好きだ!しかも僕みたいな子供に対しても本気で遊んでくれる。だから僕も本気を出せるんだ!!


 今日はかくれんぼをしてくれるって。


 まずは僕が隠れる番!!

 お爺ちゃんが数を数えてくれる。

「2時間59分59秒。2時間59分58秒。……」


 僕は来ていた服を脱ぎ捨て、さっきまで居た場所から痕跡を消す。靴を履き替え、極力カメラに映らないように行動する。家から出て3ブロック移動したら服を着替える。

 日本一周中の看板を背中に掛け、止めてあった自転車にまたがり北を目指して北上する。おおよそ2時間で移動できる範囲を計算して、その限界値より30分ほど手前に痕跡を残すと、直ぐ様進路方向を変えて商業施設に身を潜める。さぁここからが勝負だ。


 1時間後。追手がやってきた。黒サングラスにスーツのお爺ちハンターだ。


 早い。あまりにも早すぎる。

 トラップだった偽物の痕跡にも引っ掛かった感じはない。最初から行動を読まれていたか。


 僕にある選択肢は2つ。ここから動くか止まるかだ。だが、動くと痕跡が残るリスクが高い。止まる方が賢明か。

 しかしお爺ちゃんはここからどうやって僕を探すつもりだ。お爺ちゃんを遠くから見ていると、お爺ちゃんはL字の棒を2つ持ち、走り出した。まさかダウジングだと!?


 お爺ちゃんは正確に僕の通った道をダウジングが示す通りに走っている。まずい、このままじゃ見つかる。

 僕は慌てて走り出した。しかしそれこそがお爺ちゃんの罠だった。僕の足音を聞きつけ、お爺ちゃんと目があった。


「みぃ~つけたぁ」


 結局、かくれんぼは4時間ちょっとで見つかってしまった。


 今度はお爺ちゃんが隠れる番。


 僕は数を数える。

「2時間59分59秒。2時間59分58秒。……」


 そして現在、8月12日 21時30分。

 お爺ちゃんは県警、有志ボランティアが束になって絶賛捜索中だ。本気を出したお爺ちゃんを僕一人で見付けることは困難だ。


 昔もかくれんぼをした時は、3時間の隠れる時間でアラスカまでいき、そこから実に3年間も隠れ続けてた。

 未だにどうやって3時間でアラスカまで行ったのか謎である。今回、既に空港や港といった主要の交通手段には捜査網を張っておいたのだが、未だ痕跡すら見つからない。

 そもそも、家に来た筈なのにその痕跡すら残っていなかった。最初から隠れる気で行動していたとしか思えない。


 僕はしばらく考え、飽きて寝ることにした。


 えっ?お母さんなぁに??

 お爺ちゃんが来てたかって?


 さぁしらなぁい~。


 妄想的夏休みの宿題。3日目


 レクリエーション かくれんぼ


「爺ちゃんの神隠し」




 続く。




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