15日目 Loop Summer Vacation⑤

 8月24日 天気 猛暑


 今日は学校で飼っているヤギさんのところに行く。

 ヤギさんはかれこれ30年近く学校で飼われているインコだ。


 ヤギさんの家に入るためには手順がちゃんとあるが、今回はこれを無視する。なんたって緊急事態だ!


 取り敢えずインターホンはしっかりと鳴らします。

 「メェ~」と言われたけど、今日ばかりは突入。

 今日のヤギさんも綺麗好きなので、部屋は汚れていません。

 僕はヤギさんを見つけ、同じような日を繰り返してることをヤギさんに話した。


「ヤギさん!信じられないかもしれなけど聞いて。僕、何だか同じような日を過ごしているんだ」


 ヤギさんは少し驚いてたが、直ぐにいつもインコ顔になった。


「それはどんな風だい?」

「何だか、夏休みの出来事が繰り返しているみたいなんだ。でも微妙に変化もしているんだ。ヤギさん、何か知らないかい?」

「そうか。それには心当たりがあるよ」


 ヤギさんの答えは期待していた答えだった。


「その繰り返しているのは、出来事だけで日にちは進んでいるんだろ?」

「日にちが進むって?」

「例えば、よくあるループや巻き戻りなら、ゼロ地点まで戻るだろ?だけど、君の巻き戻りは出来事だけで、日にち自体は進んでいる。言うなら、前者はずっと8月24日の今日を繰り返す。後者は中身だけが8月24日で、明日になれば日にちは8月25日になると言うことだ」

「そうです!」

「やっぱりな。そんなことが出来るのは」

「出来るのは?」

「米子だ」


 これは予想外だった。まさか、この原因が米子先生だったなんて。


「実はな、私もずっと夏を繰り返したいるんだ。日付だけが過ぎていくがな」

「ヤギさんどう言うこと?」

「インコが30年以上も生き、言葉を話すなんておかしいだろ?本当は米子が世話をしに来た時に、私は死んでいたはずだったんだ。だけど米子が悲しみ、それを嫌がった」

「だから」

「だから私の時はあの夏休み。米子が世話をしに来た日から進んでない。ただ少しの変化を出しながら日付だけが進んでいるだけなんだ」


 米子先生も僕の小学校の卒業生で、ヤギさんの世話をしていた。だけど、時を繰り返すことが出来るほど、やっぱり子供の頃から凄かったんだ。米子先生。

 ヤギさんの名付け親の米子先生は、名前だけじゃなくて命まであげていたのか。


「ヤギさん!この米子先生のLoopを終わらせるにはどうしたらいいの?」

「それは簡単だ。米子の嫌なことを解決してあげたらいい」

「どう言うこと?」

「君は選ばれた。きっと米子はまた来る。その時、米子の悩みを解決して、明日に進みたくしてあげなさい」



 ヤギさんはそれだけ言うと、少し疲れたから休むと部屋に帰っていった。



 妄想的夏休みの宿題  15日目

 Loop Summer Vacation④



 解決の糸口



 続く。

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