妄想的夏休みの宿題

5日目 歴史と図工

　8月14日　天気　ご機嫌な晴れ

　お爺ちゃん捜索、3日目。

　NASAと共同開発した爺ちゃん・自動追跡・ポジショニング・システム。通称GGPSが何者かにハッキングされた。今、地図に表示されている爺ちゃんの数は1260万になっている。実に国民の10人に1人がお爺ちゃんを携帯しているのと同じ割合だ。

　まぁおそらくハッキングしたのは婆ちゃんだ。

　ほら、良く自動ドアが自分の時だけ開かなかったり、買い物に行ったのに、本来買いたい物を忘れて違うものを買ったり、ETCのバーがギリギリに開いて当たるかとヒヤリしたりするのも婆ちゃんの暇潰しのハッキングによる影響だ。あっ、先生のことをお母さん！って呼ぶのもお婆ちゃんの仕業ね。こりゃあ爺ちゃん、まだ見つからないな。

　さて、今日は御盆にちなんで我が家の歴史についてまとめてみよう。

　我が家の祖先は徳川家康と親戚の友達の友達の祖先であるアウストラロピテクスだ。つまり徳川家康とも親戚なのだ。

　そして、そんな祖先を迎えるために精霊馬と精霊牛を茄子やキュウリといったもので作るのだが。

　因みに精霊馬はご先祖様に早く現世に来ていただき、家族と過ごし、精霊牛で沢山のお土産とゆっくり帰って頂くことが目的だとか無いとか。

　我が家の馬は一昨年がフェラーリの形を模したもので、去年が新幹線だった。最早、動物ですらなかった。

　そして今年は。

　技術が最新まで進化していた。

　長方形でピンク色の丸いノブのついているあれだった。

　そう、どこにでもドアです。

　何がすごいってキュウリの色がピンク色であることだ。

　婆ちゃんが家庭菜園で作ったって言ってたけど、美味しくなさそうだ。

　そして帰るための精霊牛がまた凄い。

　靴だ。

　我が家は牛ではなくて靴だ。

　茄子で出来た靴。

　しかもわざわざNIKEのブランドを彫り、茄子の皮で紐まで作る手のいれ込みよう。

　確かにゆっくり帰ってもらいたいのは分かるが、歩いて帰れって鬼畜の所業だと子供ながらに思うのだが。

　そんなどこにでもドアだけど、昨日からずっと開いては閉じるを繰り返している。家の先祖以外も帰ってきてはいないだろうか。ちょっと怖い。

　僕はご先祖様がかわいそうだと思い、こっそりちゃんと馬と牛を作ってあげることにした。

　馬は歴代最強馬のディープインパクト。

　牛は美味しい松坂牛。

　ご先祖様、喜んでくれるといいな。

　お母さん、なあに？

　えっ、今日の晩御飯は豪華にステーキだって？？やったぁ！！

　あれ？僕の精霊牛がいないんだけど。

　お母さん～僕の精霊牛しらなぁい？？

　妄想的夏休みの宿題。5日目。

　歴史「我が家の家系図」　図工「精霊馬と精霊牛」

　続く。