『ありがとう』が言えなくて

　鈴木彩香は、大学生活と家庭の責任に追われる日々を送る女子大生。母親との確執や父親の死後の重荷が彼女の心に影を落としていた。ある日、彼女は街の片隅にひっそりと佇む古びた郵便局の噂を耳にする。その郵便局は、過去に戻って「ありがとう」を言う機会を与えてくれる不思議な場所だという。
　興味本位で訪れた彩香は、一人の女性と出会いそこで働くことになる。そこの郵便局を訪れる人々は皆、過去に感謝を伝えられなかった後悔を抱え、時空を越えた手紙を送りにやって来る。彩香は、彼等と関わっていく中でそれぞれの物語に触れ、心境に変化が起きていく。
　この物語は、過去に伝えられなかった感謝の気持ちに向き合い、未来に希望を見出す成長の物語。彩香は郵便局での出会いを通じて、何を思うのだろうか。