第9話 問題発生!?
えーと……
なんでこんなに重苦しい雰囲気になってんの!?
思い返せば30分くらい前。あたしは、中学時代の後輩、ひーみんこと瞳美ちゃんを勧誘しに行っていた。
ひーみんはOKしてくれたから、とりあえず月椿と友弥と合流しようと思ったんだけど…
「友弥は1年生の所行くって言ってたから……よし、月椿を探しに行こう!」
そう言ってから10分以上が経った……月椿、いないなぁ。どこに行ったんだろ?
「いないっすね……ていうか、海理サン、待ち合わせ場所とか決めてないんすか」
あっ……忘れてた。
ひーみんの言葉であたしは自分の失態に気付いた。うわー、やらかしたなぁ。
「あっ、その顔は忘れてた顔っすね。多分大丈夫っすよ、2年生の廊下をぐるぐるしてたら会えるっすよ。それか、海理サンたちがさっきまで話してた場所にでも行ってみます?」
あたしの顔を見たひーみんが助言してくれる。その手があったか!
「ありがとひーみん、助かった!よし、友弥んとこの教室に行こう!」
と言ってひーみんと共に友弥の教室に行ったのが数分前。
で。
「月椿先輩、私こいつ嫌です」
「は?それはこっちのセリフだし?アンタと一緒とかマジないんだけど」
あたしが連れてきたひーみんと、月椿が連れてきた子が壮絶な口喧嘩をしていた。
「えーと、月夜ちゃん、少し落ち着きましょう?」
月椿がその子を押さえようとするも。
「私はこいつだけは勘弁ならないんです」
その子はこの一点張り。
それはひーみんも一緒で、ひーみんは「海理サン、アタシ海理サンたちとは一緒にやりたいですけど、アイツはマジで嫌です」と言っている。
「そもそもなんでアンタみたいな厨二病くさすぎるヤツがやる訳?」
「私厨二病じゃないし。こっちだってあんたみたいなギャルとかなんか嫌に決まってんでしょ」
「はー?誰がギャルだし?この髪は地毛だしメイクとかしてないけどー?あ、ゴメン、メイクとか縁のない一条さんには見分けつかないかー」
「それくらい馬鹿でもわかるし。まあ私あんたと違って頭いいから馬鹿じゃないけどねークラス最下位さん?」
「はー?ふざけんなー!ンなこと言ったらアンタ去年の体育祭で全競技ビリだったくせに!」
「そんな昔のこと持ち出してくるとか、あーこれだから馬鹿は困るなー」
おう……
何かを諦めたような月椿がどこかを向いて笑っている。月椿さーん怖いよー?
ていうかこれ、収集つくかな……
なんて思ってたら。
言い争いに疲れたらしく、2人がお互いを指さして言う。
「海理サン、すんません。コイツが居るならちょっと考えさせてほしいっす」
「月椿先輩、こいつがやめたら誘ってください」
そして、我先にと教室を出ていってしまった……
「海理ちゃん……なんだか私、どっと疲れてしまいました……」
「奇遇だね月椿……あたしもだよ」
二人して力なくはは、と笑う。
これ、どうすればいいんだろう……?
困ったあたしが
「とりあえず、1年生のところにでも行ってみる?友弥がいると思うし」
と提案すると、疲れた顔の月椿はこくんと頷き、立ち上がった。
「よし、じゃあ行こうか……」
なんかこれ以上喋る気力もなくて、月椿と2人、無言で1年生の階まで行くと。
何やら話し声がした。
「メンバーは、今のところ3人だよ」
あ、これ、友弥の声だ!あたしと月椿は顔を合わせて、声がした方へ早足で向かう。
そして、人影がある6組の教室を窓からそっと覗くと。
友弥の姿が見えた。1年生2人は座っていて、こちらからは顔が見えない。
「ちょっと海理ちゃん、見えないんですけど」
隣でぴょんぴょんする月椿。下部分は磨りガラスだから小柄な月椿は見えないのか……
そんなことをあたしたちがしていると。友弥じゃない、多分1年生の子の叫び声が聞こえた。
「お姉ちゃんと一緒に何かやったら……また私、お姉ちゃんの引き立て役になるから。何をやってもお姉ちゃんより下手で、お姉ちゃんと比べて星蘭はって言われて。私には、お姉ちゃんみたいな才能なんてないんです……!アイドル、楽しそうだなって思ったけどお姉ちゃんがいるならやめます」
え……?
フリーズするあたしの耳に、月椿の小さな声が聞こえた。
「せいら……」
そう言って走り出す月椿……
「え、ちょっと、月椿、待って!?」
あたしはポケットの中のケータイを取り出し、友弥に『あたしの部屋に来て』というチャットをさっと送ると、月椿の走り去った方に向かって走り出した。
HIghschool Dream Live! BRILLANTIST編 薄氷 暁 @usurai_aki
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