第14話 ぬいぐるみ
今日も何事もなく1日が終わった。朝の雪崩は驚いたが、今となっては貞操逆転世界を感じれるイベントだったと感じている。
「洋、洋、これ面白いよ」
「それは........知らないな」
授業を終えて四宮さんと牧城さんが早く帰りたいらしいので、引っ張られる形で、部屋に帰ってきた。四宮さんは献立を考えており、僕は牧城さんがオススメする漫画をタブレットで見ていた。
.............、やはり以前とは違うな。貞操逆転前とは違い、男子に執着した作品が多く、BLと言ってもいいような作品が多くあった。しかし、中には面白そうな物もあり、
「それ、良い」
「牧城さん読んだの?」
「もち」
軽く説明をしてもらい、興味が倍増して漫画を自分の携帯で電子書籍として買って、一巻を一瞬で読んだ。一瞬で読めるほど凄かった。
「ふぅ.......、こんなものかな」
「お疲れ様、四宮さん」
「全然、これからは私の役目だから」
「でも........」
「私がやりたいからお願い」
昨日、これからの献立を相談した時に、僕はみんなで考える事を提案したが、牧城さんは寝ており、四宮さんは自分が全部したいと提案してくれて、
「分かった。でも、困ったら言ってね」
「うん」
漫画を読み終えた僕は、風呂掃除とご飯を炊いて、今日習った授業を復習していた。部屋はまだ、自分色には染まっていないが、少しずつ変わっていた。.........少しずつ、?
「.............」
ふと、休憩しようとベットに座った時に、尻に知らない感触があったので、布団を上げると、
「これは、ぬいぐるみ?」
ホワイトタイガーのぬいぐるみが僕の布団の中に潜んでいて、絶対に僕のではないので、多分牧城さんだと思い、
「牧城さん、これ返すよ」
「?」
リビングに居た牧城さんにホワイトタイガーのぬいぐるみを差し出すと、困った様な顔になった牧城さんは、
「洋、私のじゃない」
「え!!」
「これ.........リンリンが持ってた」
リンリン......四宮さん、そして台所で現在料理に集中している方、何故僕の部屋にぬいぐるみを?
「これを見た事あるの?」
「うん、昨日リンリンが夜遅くにトイレ行きたいからって私を呼んだ時に、そのぬいぐるみを抱いてた」
「そうなんだ」
より謎が深まった。このぬいぐるみの持ち主は分かったが、何故僕の部屋にあるのか、何故ベットの上にあるのか、何故夕方見つかったのか、
本人に聞くしかないよな、
「四宮さん、ごめん。これって」
「あ、フーちゃん」
「フーちゃん?」
「あああああ、違うの。今日カレーだから味見の為にフーフーしようと」
「なるほど」
スプーンをブンブン振りながら四宮さんは慌てていたが、本題は何も進んでいないので、
「このぬいぐるみって」
「...........私のです」
「僕の部屋に居たけど」
「...........寝てたの」
「ん?」
「寝ていたかったの」
よく分からない。けど、これ以上四宮さんの料理を邪魔したくないので、僕は机にぬいぐるみを置いて、部屋に戻った。
「(ぬいぐるみで疑似体験したかったから)」
「(リンリン.....ホワイトタイガー)」
外も暗くなって僕達は全員風呂を出て、四宮さんが作ってくれたカレーを三人で食べていた。母さんとは違い、野菜のサイズが大きくて食べ応えが凄いあり、とても美味しかった。
「「「ご馳走様でした」」」
洗い物は僕と牧城さんがして、四宮さんにはソファーでくつろいでもらう事にした。これからは多分、四宮さんが僕らの柱になるので、それを支える為に僕達は頑張ろうと牧城さんに送った.......目だけで、
「洋、危ない」
「あ、ごめん」
「うん、良いの」
洗い物中に他を考えたら危ない。そう改めて実感した。そして、洗い物を終えて、三人でテレビを2時間程見て、それぞれ部屋に入った。
まだ、22時だしゲームもできるけど、授業で疲れてベットにダイブしたいから、
「..............幸せ」
前にダイブしていたらぬいぐるみが踏まれていたが、今は何も無い。ぬいぐるみや今の事が徐々に消えていき、
.............、
牧城奈々未視点
ぬいぐるみ、可愛かった。リンリンぬいぐるみに詳しいのかな、また聞こ。
................おやすみリンリン、洋、
四宮凛花視点
はぁはぁはぁはぁはぁ......落ち着け、
「...........ゴク」
洋君から返されたフーちゃん、長年抱き枕兼相棒だったけど、今日からフーちゃんは覚醒した。そう、
「貴方は、有野フー」
匂い、仮想の暖かさ、全てが私を興奮させた。フーちゃんは少し大きめで上半身ですっぽり収まるくらいのサイズだが、前までとは違い、抱きしめるから........抱きしめられてるに変わった。
「.................やばい、寝れない」
鼻腔、目、上半身、その他が興奮して眠気など微塵も感じない。やばいけど、寝なくては明日の朝ご飯が作れない。食事系は将来の為に今のうちから特化型花嫁修行をしなくてはいけない。
「.......、........、あ、意外と......」
洋君の匂いには興奮の次に安心の匂いに変わって、私は産まれて初めて安心して眠りに入れた。
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