第6話 意外な一面
家より大きい薄型テレビ、勿論持って来た愛用テレビゲーム機、まだ慣れないリビング、どれもが僕の心を興奮させた。
四宮さんと牧城さんが出てくるまで、RPGゲームを楽しみ、来る声が聞こえたのでテレビをお笑い番組に変えた。
「あ、私これいつも見てるの」
「.................」
四宮さんは白いパジャマ、牧城さんは俺と同じくTシャツと短パン、同年代と初めて過ごす夜は当然緊張したが、牧城さんが、
「おやすみ」
目を擦りながら自分の部屋に入り、僕達二人がリビングに残った。四宮さんは僕が座っているソファーの横に座り、
「........ふふ.......ふふ」
「...........」
少し笑いながらテレビを見ている四宮さん、本当に好きなんだと感じながら僕はゲームの疲れと緊張疲れで眠たくなったので、
「僕もおやすみ」
「うん、おやすみ」
部屋に戻って就寝した。
設定していたアラームで起こされて、部屋を出て洗面台で顔を洗い、リビングに行くと誰も起きていなかった。携帯を見ると、
「...............8時半」
............ホームルームが始まるのは9時だから残り30分、寮だから校舎まで数分で行けるから、僕はする事は、
「みんな起きて遅刻ギリギリ!!!」
四宮さんの部屋からは大きな音が聞こえてきたが、牧城さんの部屋からは何も聞こえてこなかった。
「.........その、洋君、後ろ向いてて」
「あ、うん」
扉越しに聞こえてきた注文に僕はリビングの方を向くと、扉が素早く2回開く音がした。少し待って振り向くと四宮さんはお風呂場に行っていた。詮索はよそう、それより、
「..........牧城さん起きて」
昨日、部屋を開けっぱなしで寝たおかげで僕は牧城さんの部屋に入れている。
「..................だっこ」
「嫌だ」
「今日休む」
「ダメ」
「なら、だっこ」
「はぁ」
僕は近くによって手を広げた。すると、芋虫の様に頭とお尻を動かして近づいてきた。僕のお腹までくると、這い上がって脇に手を入れ。しっかり抱きついてきた。
「洋、リビング、ゴーーーー」
「はいはい」
僕は寝起きの牧城さんを抱えて部屋を出た。側から見たら僕の体に牧城さんが四肢で張り付いている感じで、
「...............何してるの?」
リビングで食事の準備をしていた四宮さんに睨まれて、質問された。さっきから牧城さんは僕の胸に顔をうずうずしているが、これが不味かったのだろうか、
「その........動けないらしいから」
「そっか......洋君は動けない女子が居たら誰でも抱っこするんだね!」
「いや違」
「してるもん」
頬を膨らませながら近づいて来る四宮さんは、結構怒っていた。僕が牧城さんに優しいのが、許せないのだろうか?
「..........えい」
さっきまで抱っこしていた牧城さんはソファーに落っこちて、四宮さんは少し頬を赤くしながら、
「................抱っこ.......ダメ?」
牧城さんと同様に四宮さんを抱っこした。四宮さんの提案で何故かお姫様抱っこになったのは..........何も言わないでおこう。
僕達は昨日四宮さんが炊いてくれていたご飯でおにぎりを作り、一瞬で食べて支度を整え部屋を出た。牧城さんは寝ぼけているので四宮さんに全てを任せていた。
「「「..........ギリギリ」」」
運良くエレベーターが来て、運良く通りかかった先生が教室まで教えてくれて、運良く教室まで来れた。
「席は.......同居人で固まるか」
僕達は教室前に置いていた紙を見て、部屋ごとの男子の名前だけ書かれており、僕達の席は1番後ろの通路側だな、
「「おはようございます」」
「..............おはよ、洋」
別に牧城さんに挨拶した訳ではない。僕達は後ろから3人で入り、挨拶をして自分達の席に着いた。左から四宮さん、僕、牧城さんの順で座った。すると、
「.........私、さいと」
「ごめんなさい、私の夫ですから」
「あ、ごめん」
近づいて来た女子に四宮さんではなく、牧城さんがそう言った。昨日までのポワポワした雰囲気ではなく、クールでカッコいい女性のオーラを纏っていた。
「..........夫?!!」
「.........机冷たく気持ちいい.............」
僕を挟んで四宮さんは牧城さんに夫発言の意図を聞こうとしていたが、牧城さんは机の上で寝ていた。
「洋君.............結婚してたの?」
「嫌々昨日会ったばっかりだよ」
「でも夫って...........私........知らないよ」
怖い怖い、早くホームルーム始まってくれ。四宮さん、長机だから少しずつ近いて来るし、牧城さんは机に飽きたのか、僕の膝を使おうと模索してるし、
「............そんな感じなら少し困るかな」
僕が思った事を少し口に出してしまい、二人を見ると、牧城さんは背筋を伸ばして、四宮さんは、
「...............捨てないで下さい......うぅぅ」
僕の膝に埋まりながら泣いていた。声は僕がギリ聞こえるくらいだったので、僕も悪いと感じて、
「ごめんね、そんなつもりで言った訳じゃないんだよ」
僕がいつも母さんに行っている泣いた時にする事を四宮さんにもした。丁度下に頭があったので、優しく撫でていると、それに触発されて牧城さんも頭を僕の膝に付けてきたので、一緒に撫でる事にした。
「「...................」」
良かった事は1番後ろだったので、そんなに見られていなかった。それに四宮さんも泣き止んで授業の準備を進めているし、牧城さんも...............、
「退きなさい」
「.......ケチ」
僕は牧城さんを退かして四宮さん同様に授業の準備を始めた。でもやっぱりさっきの牧城さんの顔.......いつもと違ったな。
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