第3話 初めまして
新山学校の体育館は貞操逆転前に通っていた中学校の体育館と全く違っていた。シルバー色の芸術的な屋根に高層ビルの様な作り、全てが規格外だった。母さんも驚いていたが、一緒に顔を上に上げながら体育館に入った。
「こちら男子専用の受付です。女性は絶対に入って来ないで下さい」
学校関係者が大声でそう言っていたので、僕達はそこに行き受付を終えてみんなとは違う場所に向かった。銀行にある様な鉄でできた頑丈な扉に入って、一室に入った。
「こちらで入学式をお楽しみ下さい」
「「はい」」
大きなガラスの部屋は物凄く豪華で居心地は少し良くなかったけど、下には同級生となる生徒が約100名程度居て全員女子だが、
「洋ちゃん、危ないよ」
母さんが席に座って「こっちに座りなさい」と言いたげだったので僕は静かに座って入学式が始まるのを待っていると、
「それでは新山高校の入学式を始めます」
綺麗な女性が壇上に立って宣言していたが、パンフレットで見た理事長だったので、新山高校に来た時改めて実感した。
「まず、君達は幸運な生徒達である事理解してほしい。我が校は毎年倍率100倍程であり男子と共に過ごせる3年間を幸せに体験してほしい」
パチパチパチパチ......、
理事長は最後に、
「それでは新しく我が校の生徒になる君達にある言葉を送ろう、毎年言っているが新山高校卒業生の約50%が同部屋の子と結婚する」
「「「「おおあおあおあおあ」」」」
ガラス越しでも歓声が分かる。ある女子は泣き崩れて、ある女子はお守りを握りして、ある女子はこっちを見ていた........見てる!!!
「洋ちゃん、限度はあるからね」
「あ、はい」
母さんは少し怒っていたが、僕もこれから親元を離れるのでみんなと同様に興奮していた。入学式が終わって、僕達はまずこれから生活する寮に案内された。順番もあるので数十分程度待って、
「準備が整いました。それでは参りましょう」
「「はい」」
僕達は学校関係者の指示のもと部屋を出て体育館を出た。周囲にはもう生徒はおらず静かだった。そして、数分程歩いて寮に着いた。体育館を見て分かっていたけど寮も規格外だった。
「こちらは築50年ですが、10年に一度リホームを繰り返しており、建物は木を多く使った温もりのある寮をイメージしております」
「すげぇ」
丸太をメインに体育館同様に現代的な部分も残した綺麗な建物だった。パンフレットにも設備は日本トップレベルと書いてあったので、これを実際見て理解できた。
「それでは、有野様のお部屋は5階の右奥にある510ですのでエレベーターで向かいます」
僕達は寮に入り、綺麗な玄関で靴を脱ぎスリッパに履き替えてエレベーターに乗った。
「これから行く部屋に説明書などはありますが、大事な部分だけ説明します。まず、今から行く部屋には女子が二人居ます」
「...................ん?」
母さん、新山高校の説明したよね。三年間女子二人を含めた三人で暮らすって、もしかしてまだ怒ってるの?
「.......、女子二人ですが、学校側で選ばれた女子ですので、万が一合わない事があれば変更もできます」
「それじゃあ一人暮らしでお願いします」
「すみません。それは我が校のルールですので」
母さんはやはり女子いう部分に異常に敏感な人になってしまった。僕は今から会うのが楽しみだが、もし笑顔でいたら怒るんだろうな母さん、
「最後に........頑張って下さいね」
5階に着いて510部屋に行き、学校関係者が鍵で開けてくれて、学校関係者は説明を終えて去って行き、中に入った。けど、母さんが居るので分かっていた事だが、今部屋に居るのは6名、
「「「「「初めまして」」」」」
初対面の方が......三人、親子らしい人達が二人、親が一人、多分まだ揃っていないのだろう。母さんも席に座って、僕も連れて座った。
「それじゃあみんな揃ったので自己紹介からしますか?」
「「「「「うん」」」」」
「私は四宮凛花と言います。3年間宜しくお願いします」
「凛花の母親の四宮佳菜子です」
四宮さん達はよく似ており、黒髪ロングに綺麗なクール顔で、スタイルも座っている状態でもすぐに分かった。四宮凛花さんはずっとこっちを見ているけど、
「有野志保です。洋ちゃんの最愛の母です」
「僕は有野洋です。宜しくお願いします」
母さんはずっと警戒した顔つきだったが、僕が手で宥めて少し冷静になってくれた。そして最後は、
「私は、牧城雪です。その.......娘は今ベットで寝ています。申し訳ございません、娘の名前は牧城奈々未です」
牧城さんは白い髪ふわっと下げて謝罪したが、子が寝ている?今って朝だよな。もしかして少し変わった子なのかな?
「もうすぐ時間ね、それじゃあ我々は出ましょうか」
「分かりました」
「うぅぅぅ」
四宮さんの母親がそう言って部屋を出ていく準備をしていた。母さんは結構悲しそうだったが、いつもの習慣で頭を撫でて笑顔に戻ってくれた。
「「「!!!」」」
こっちを3人に見られた気がしたが、気にせず母さんを宥めてなんとか出て行ってくれた。
「約束絶対だよ」
「分かったよ。またね」
「またね、洋ちゃん」
母さんはハンカチを濡らしながら部屋を出た。残りの親子は、
「凛花、見たわよね。絶対.......ね」
「もちろん、お母様」
四宮さん達が何か言っていたが、すぐに終わり四宮さんの母親は部屋を出た。
最後は牧城さんだが、寝室に行って我が子に別れを告げたらしく、最後に僕に、
「娘を宜しくお願いします」
深々と頭を下げて出ていった。
今、四宮さんと二人っきりだが会話が出てこない。これまで女性と話す事は母さん以外とあまりしてこなかったので、何を言っていいか分からない。すると、
「....................あ、誰?」
後ろから知らない女子が来て、少し驚いたが、多分この子が牧城奈々未さんであろう。母親と同じく白髪のショート髪に母さんと同じくらいのスタイル、綺麗な顔で少しドキドキした。
「へぇ.........有野君って牧城さんみたいな人がタイプなんだ」
前を見ると四宮さんの目は少し虚になっており、え?僕何かした?っと思っていたが、取り敢えず、
「ごめん」
「別に謝ってほしくて言った訳ではないから、こちらこそごめん」
四宮さんと謝りあったが、後ろに居る牧城さんはずっと立って居たので、
「座りなよ牧城さん」
「ん、分かった」
何故か僕の真横に座った牧城さんは頭を僕の肩に付けてまた眠りについた。前にいる四宮さんはさっきよりも目が虚ろだった。
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