第13話 未来の保護活動
入学2日目、貞操逆転世界での生活にも慣れてきたが、逆転前では絶対に絶対に起きない事が起きてしまった。
「「「........」」」
横を見れば泣きついている西条姉妹、遠くを見れば数藤君を問い詰めている怖そうな同居人、そして、
「...........分かっていたけど」
「即、処分」
今日は遅刻せずに行けると思っていたが、僕の予想は予想の範疇でしかなかった。実際、寮の部屋別連絡ポストに数十枚の手紙や袋詰めされた物などがギッシリ詰まっていた。
「どうしよう?」
捨てるのは申し訳ない、でも二人が怖い。他の女子に好感を持って貰えているのは嬉しいが、
「「私達が処理します」」
二人の意見を尊重して僕は黙って見届けた。手紙は四宮さん、小包は牧城さんが持って学校に向かった。
教室に着いて、四宮さんは用事があると言って教室を出て行った。残った僕達は、
「洋..........お腹空いた」
「え!」
横に座っている牧城さんは、数十分前に食べた四宮さんの朝ご飯をモノともせず、僕の食料をねだってきた。
「....これなら」
「チョコ、大好き」
チョコをリュックに入れていた僕は牧城さんに渡して何とか収まってくれた。ハムスターの様にチビチビ食べる牧城さんは、なんとも愛らしかった。
「それより牧城さん、準備しよ」
「.........モグモグ........うんうん」
「ふふ」
食べ終えて牧城さんは静かに準備を初めて一瞬で寝る姿勢に変化した。睡眠が大切なのは分かっているけど、
「「「「..........」」」」
牧城さんが眠れば少しずつ近づいてくるクラスメイト、目が怖い。でも、何度か牧城さんが顔を上げたら、クラスメイトは一歩下がる。
「............」
無言で戻って来た。四宮さん、少し息が上がっていたが、何も聞けなかった。今朝、大量の手紙を見た時以上の怖い顔をしていたから、
「おおお、小林、数藤、有野、偉いぞ。私も今日来た意味があるというものだな。それじゃあ.................逆ハーレム!!!カモーーーーーーーーーーーーーーーーン」
佐々木先生は昨日と変わらず楽しそうだ。女子の怖い目線すら佐々木先生にとってはただの視線なんだろう。その証拠に、
「では、1限目から皆頑張ってくれ」
「「「「はい」」」」
今日から学校生活が本格的に始まるので、気持ちが昂ったが、それは勉学だけではなかった。................、
授業中、四宮さんは真面目に聞いていて、牧城さんは僕の太ももに手を置いてニコニコしていた。そして、それに挑発されて四宮さんも顔を赤く染めて同じ行為をしてきた。
「(片方はこそばゆい、もう片方は少し痛い)」
何とか耐えて昼休みになった。クラスメイトの半数以上が食堂に向かったが、僕たちは、
「「「いただきます」」」
昨日のハンバーグの残りを弁当に詰めてくれた四宮さんのお陰で、教室でゆっくり食べる事ができた。数人の女子からはよく分からない視線を感じたが、
「美味しい、リンリンナイス」
「もちろん」
「美味しいよ」
「ありがとう洋君」
今朝も食堂を提案したが、四宮さんから綺麗に断られて、現在に至る。綺麗に食べる四宮さん、スプーンを持ってモグモグしている牧城さん、.................今日も平和で何よりです。
四宮凛花視点
「すいません」
「すいません」
「すいません」
「すいません」
「すいません」
「すいません」
「すいません」
ホームルーム前に私は同性に対して機械のように「すみません」を言っていた。言った相手は十人十色で、怒る者や泣く者、静かに去って行く者や怒鳴って去って行く者、
「はぁ..........分かっていたけど」
何らかの形で洋君に接触してくると思っていたので、予め同級生を調べて手帳に記し、今日手紙を送ってきた相手を特定して、私が断りの言葉を告げた。
逆の立場なら.......気持ちは分かる。男子にもしかしたら近づける手段があるなら、どんな手段でもやる..............それが、運命なら尚更、
「(でも、譲れない。洋君を深く知ってしまったらそれ以外の生活など..........生きた心地がしない)」
心を無にして同級生に断りを告げていたら、数人程居なかったので仕方なく教室に戻った。
教室では奈々未が洋君を守っていてくれると思っていたが、机に張り付いており、目を疑った。昨日あれほど言ったのに、
「(クラスメイトは多分9割ほどが洋君を狙っている。小林君は可愛いと思うけど洋君の方が可愛いし、頼りになる。数藤君はスポーツ少年の様な爽やかさがあるが、洋君の方がスポーツが似合うし、数万倍カッコいい)」
............................私の未来の旦那、
輝きすぎだよ!!!!!!!!!!!
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