舞台は広大な森、そこに点在する村々を旅する青年タイカ。彼は知識と知恵を交換する《物語り》として村を訪れ、人々と触れ合い、微かな変化をもたらす。
時には村の外に憧れる少年に道を示し、時には自らの殻に閉じこもる娘に勇気を与え。それはほんの僅かな知識であり、後押しであり、些細なきっかけだったりします。
タイカはとある事情により特殊な力を有していますが、決してそれを過信せず乱用せず、自らを厳しく律しています。彼は出会った人々にも自然な変化を求め、必要以上の干渉をせず、あくまで《物語り》であろうとします。
彼は勇者でも魔法使いでもなく、ただ人々にほんの僅かな知識ときっかけをもたらす《物語り》。
ファンタジーでありながら静かで不思議な優しい世界に浸りたい方、是非ともご一読ください。
獣の脅威に満ちた広大な森に、小さな村が点在している。
村同士の交流は薄く、旅びとが訪れるのは珍しい。
少女を連れているのなら、なおのことだ。
真っ暗なマップが、旅びとの足跡でゆっくり明らかになっていくような読み心地の作品です。
この世界の人々がどんな価値観を持ち、どうやって恐ろしい獣から家族を守り、いかなる加護をもって森での暮らしを営んでいるかを、一話ごとにあなたは知っていくでしょう。
「それってどういうことなんだろう」と疑問に思ったことを、次の話でサラリと説明してくれるから、知的好奇心をくすぐられながら、次へ次へとページをめくる手が止められなくなります。
ストーリーは、これから二部が始まるところ。
読み始めるには、ちょうどいいタイミングですので、ぜひ。