概要
夢に現れる悍ましい姿の少年。その彼と私はある約束を交わしていた。
舞台は愛媛県松山市沿岸部に位置する三津浜商店街。
その三津浜は古来から愛媛の海の玄関口として栄え、また近代俳句の祖である俳人正岡子規やバルチック艦隊撃破の名参謀として名を馳せた秋山真之が松山から旅立った場所であり、そして若かりし頃の文豪夏目漱石を迎えた港町でもあります。
けれどかつては豪商が軒を連ね、多くの文化人の住まいがあったこの三津浜地区も昭和の中頃をピークに廃れはじめ、その中心であった三津浜商店通りも数年前までは往時を偲ぶべくもないシャッター通りと化してしまっていました。
しかしながら近年になって地元の官民が一体となり三津浜地区をなんとか昔のように盛り上げようという活動が興り、その甲斐があって最近では古民家を再生活用したおしゃれなカフェやレストランを皮切りにして雑貨店やカレーライス専門
その三津浜は古来から愛媛の海の玄関口として栄え、また近代俳句の祖である俳人正岡子規やバルチック艦隊撃破の名参謀として名を馳せた秋山真之が松山から旅立った場所であり、そして若かりし頃の文豪夏目漱石を迎えた港町でもあります。
けれどかつては豪商が軒を連ね、多くの文化人の住まいがあったこの三津浜地区も昭和の中頃をピークに廃れはじめ、その中心であった三津浜商店通りも数年前までは往時を偲ぶべくもないシャッター通りと化してしまっていました。
しかしながら近年になって地元の官民が一体となり三津浜地区をなんとか昔のように盛り上げようという活動が興り、その甲斐があって最近では古民家を再生活用したおしゃれなカフェやレストランを皮切りにして雑貨店やカレーライス専門
いつも応援していただきありがとうございます。
なお一層、創作に励みたいと思います。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!失われた眺めから追憶の彼方へ
夢に立ち尽くす白い影と交わした『約束』。それを果たすために、ある場所へと向かいます。
そこはかつて、隆盛を迎えた商店街。時代の趨勢とともに今ではさびれ果て、閑散としたシャッター通りと化していました。そこで出会う夢で見た、白い少年。凋落に沈む街の盛衰を、少年の装束や病的な血色で対比する意匠を凝らした筆力が、なんとも巧みです。そこから醸されるホラーとしての赤と白の色彩心理でなぞる戦慄に寒気を覚えます。
しかし、物語前半に抱いた強い恐怖心は、少年との接点・経過とともに次第に薄らぎ、やがて時と場所をともに歩むノスタルジーへと、なめらかに継がれていきます。またそれに伴う少年の口調の変化にも注目した…続きを読む