第16話 九聖光・第六席『神楽・ヨル』


「ハッ!」


ボワン!


「‥‥‥はい!お疲れ様です。0点です」


「はい~!」


ズザアアアン!!!


「おぉ、凄い!はい!お疲れ様です。100点です」


「やりました~!レイカ様~」


ソフィアが喜び私に抱きつき。豊満モノをが私に当たり。二重の意味での敗北感を打ちのめされた。

私達は魔剣学園の中にある総合体育館へと試験官達に案内され。試験内容と注意事項の説明を受けたのち。第一試験である。魔術運用試験に望んだ。


そして、その結果は‥‥‥‥


「0点と100点ですか‥‥‥‥それはなんとも‥‥‥」


アレイちゃんが頭を抱えながら私達を見る。


「エドワード・ユグドラ君!」


「なんでしょうか?アレイギルドマスター殿」


エドワード君は澄ました顔でアレイちゃんを見る。


「貴方、レイカさんに魔術運用のノウハウを教えてないのですか?」


「‥‥‥‥そうですな。此方に着いて二、三日も経っておりませんし。レイカさんの魔術系統もまだ把握できておりません」


「おらっ!」


アレイちゃんが黒い何かをエドワード君に投げつける。


「おっと!危ない」


そして、彼はアレイちゃんの攻撃を華麗に躱(か)わす。


「魔術訓練もしてない子をいきなり試験に挑ませるとはおバカなのですか?貴方は!」


アレイちゃんが怒りながらエドワード君を睨み付ける。

ソフィアは私にしがみつきプルプル震えている。


そして、私はソフィアとのキョウイノ差に震えている。


「仕方ありません。色々と時間がありませんでしたしね。それに、レイカさんの今の魔術の現状は別に想定内なんてすよ!アレイギルドマスター」


「想定内?それはどういう?」


エドワード君の発言に疑問を抱くアレイちゃん。


「まぁ、午後の剣術試験で分かりますよ。ささ、午前の魔術試験はこれにて終了です。まぁ、とりあえず、僕の推薦で入学試験に来たという事なので。試験結果はどうにかしますよ。どうにかね。そんな、事よりも食堂へ参りましょう。魔剣学園の学食は美味しいですよ」


彼はそう言うと我先にと食堂?へと行ってしまった。


「ふー!相変わらずですね。」


「相変わらず?」


「ええ!相変わらずです。昔からですよ。昔きら試験や迷宮攻略の準備も何もせず、その場でどうにかしようとするんですよ彼は」


「それは‥‥‥なんとも無茶苦茶な‥‥‥」


「そうなんです。そうなんですが‥‥最後の最後には全て上手く事を運ぶんですよ。あのおバカさんは!全くこれだから天才は‥‥‥はぁー!食堂へ行きましょうか。レイカさん。ソフィアさん!彼との話し合いは終わりましたからプルプルタイムは終了ですよ」


「ふぁ、ふぁい!アレイ様~!プルプルプルプル」


「ごめんなさい。ソフィアさん。いきなり大声を上げてしまって。怖い思いをさせてしまいましたね。よしよし!」


アレイちゃんはそう言いながらソフィアの頭を優しく撫でた。


その後、私達三人はエドワード君の居る。食堂へと移動した。



魔剣学園・食堂


「おい!だから、この数ヶ月の間。何処に行ってやがったんだ?エドワード!」


「はい、自分探しの旅をフラフラと」


「嘘をつけ!オマケに昨日は名誉ある九聖光を辞任だと?貴様!それでも魔剣学園の代表の一人か?」


私達が食堂へ着くと。エドワードが学生らしき数人に絡まれていた。


「ええ、ですから。もう魔剣学園の1生徒ですよ。『神ノ使徒』の資格も数日前に天界に返上しましたしね」


「はっ?!神の資格を返上だと?!」


「では、今は空位の状態なのか?」


「とチクるってやがんのか?コイツ?」


エドワード君に絡んでいる生徒達が次々に困惑の顔をしている。


「あ、あの?アレイ様。『神ノ使徒』って?いったい?」


ソフィアがそんな質問もアレイちゃんに聞いている。

ていうか、私も気になる。


「それは、ですね。ソフィアさん。アリナ世界で天界の神々に認められた。7人の使徒。それを『神ノ使徒』と呼びます。」


「7人の使徒?」


私がつい、そんな質問をアレイちゃんにすると。


「あら?レイカさんも気になりますか?なってみますか?神ノ使徒に?」


「えぇ?!いやいやそんな!ていうか、そんなポンポンっとなれるものなんですか?神ノ使徒って?」


「難しいですよ。七大大陸で一つの大陸に付き。神ノ使徒になれるのはその大陸で一人だけ。彼、ユグドラ君の場合は最年少で九聖光になったことと『解放者』の資格が神々に認められたことにより。この大陸の『神ノ使徒』に慣れたのでが‥‥‥‥」


「ですが?」


「あのおバカは九聖光の地位の次に『神ノ使徒』にまで神々に返上するとは、あの子の師匠的立場としてお説教の一つでも」


「ちょっと待って!エドワード君の師匠って!アレイちゃんだったの?」


「えぇ、そうですよ。彼から聞いていませんか?」


「いいえ、何も」


「はぁ、またですか。‥‥‥‥かれこれ、彼が3歳位からお世話してますよ。昔から大変優秀で自慢の子だったですが‥‥‥現在では、あのようなおバカさんになってしまうなんて。時間の流れは残酷です」


「ア、アレイ様?!」


アレイちゃんはそう言うと、ソフィアの豊満なあれに身体を沈めた。


「‥‥‥まぁ、神ノ使徒になるには何かしらの『資格』が求められますがね。勇者、洗礼者、彼の場合は解放者の資格を幼少期に魔剣学園授かりましたがね」


ん?ちょっと待って!今、勇者って言わなかった?

私がその事を聞こうとした瞬間。


「学生の皆様。お戯れはそのへんで終わりにしていただきます」


昨日、どこかで聞いた様な声が近くから聞こえてきた。


「あん?!だよ!学生試験官の俺達になんかのようでも?!‥‥‥‥」


「それ以上。元とは、いえ、同じ立場の仲間に突っかかるようでしたら。学生といえど。規則違反で処分の対象になりますが?」


「九、九聖光‥‥‥神楽・夜・第六席?!」


あぁ、昨日、あの狼さんと現れた。妖艶美人のお姉さんだ。何故か学生服を着ている。


「何でここに?九聖光の一人が?」


「それは、私が魔剣学園の学生だからですが?何か?」


神楽さんはそう言いながらエドワード君に突っかかっているリーダー格の学生を睨み付けた。


「お、おい!どうするよ?」


「いや、謝るしか‥‥」


「くそっ!行くぞ。お前ら!」


「お、おい!シェパード!どこ行くんだよ!」


「待ってくれよ!!」


リーダー格のシェパードはそう言うと!悪態をついて食堂から出ていってしまった。


「‥‥‥‥ふん!」


神楽さんは出ていく彼らを見ながら鼻を鳴らした。


「いや、助かりました。神楽さん。流石は現役の学生にして九聖光第六席の座に居られるお方」


「‥‥‥‥はぁ~!もうちょっとしっかりして下さい。ユグドラ君!ほら、ネクタイ曲がってますよ!」


神楽さんはそう言うと。エドワード君の曲がっているネクタイを直してあげた。


「いや~!面目ない。神楽さん」


ん?この二人何か怪しくない?


「全く、そんなんだから。ナメられるのです!貴方は九聖光の一人で‥‥‥‥ある自覚を」


「元ですよ。もう元、では、助かりました。それでは~」


そう言ってエドワード君は私達のいる方へと近づいてくる。


「あっ!ちょっと待って下さい。ユグドラ君!話しはまだ、終わってませんよ」


今、気づいたけど。最初にあった頃の彼女と今の彼女の表情豊かな顔を見るに。最初にあった時は公務の時の顔だったんだなと今さら気がついた。


「神楽さんも昼過ぎから剣技試験官のお仕事でしょう?時間の方は大丈夫なのですか?」


「そ、そんなことより。早く、九聖光に復帰を‥‥‥って?アレイギルドマスターに?ソフィア様、それと‥‥‥貴女は先日の?」


神楽さんは私達の存在に気づくと歩くの止め。私を凝視している。


「こ、こんにちは~」


「ええ!こんにちわ!って、そうではなく、ユグドラ君。彼女は?誰なのでしょうか?」


「レイカさんですか?」


「レ、レイカさん?!」


神楽さんがすっとんきょうな声をあげた。


「は、初めて~!新米冒険者のレイカと申します。会うのはこれで二回目ですね。よろしくお願いします」


「は、はい!私は彼、ユグドラ君と同じ九聖光の」


「僕はもう。元です」


「‥‥‥‥同じ同僚の神楽・ヨルと申します。レイカさん。よろしくお願いします」


神楽さんはそう言うと私に右手を差し出してきた。


「は、はい!よろしくお願いします」


すかさず、私も右手を差し出し。お互いに右手を握り会う。


‥‥‥!!?!凄まじい研鑽の後が残る。内側の手を私は戦慄が走った。


神楽さんも同様だったのか冷や汗をかいている。


「‥‥‥‥レイカさんは午後からの剣技試験にも出られるのですよね?」


神楽さんが真剣な顔をして私に聞いてくる。


「は、はい!出ます」


「‥‥‥そうですか!それは楽しみにしておきます。では、皆さん。また、午後にお会いしましょう。失礼いたします」


神楽さんはそう言うと。試験会場の方へと行ってしまった。


「おやおや、これはなんとも。午後からは荒れそうですな。姫君!」


エドワード君はそう言いながら会場を見ていたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る