第17話 幼馴染み


『試験会場』


ガヤガヤガヤガヤ


ガヤガヤガヤガヤ


朝から行われた魔術運用試験も終わり。昼から剣技試験が行われる流れである。


「しかし、何でこんなに人が沢山居るのかしら?午前中にあった魔術試験の時、こんなに居なかったよね?エドワード君」


私は隣で何だか解らない文字で書かれている本を読んでいる。彼に話しかけた。


「ん?何ですか?姫‥‥‥レイカさん?」


本を読むのに集中していたのか。私の声が届いていなかったみたい。


「だから、この、会場の人の多さは何でだろうねって!」


「会場の人の多さ?‥‥‥おお、確かに午前中よりもかなりの人がおりますな。それもそのはず、午後からは現役の九聖光が学生試験官としていらっしゃいますからね。皆さん。それが目当てなのでしょう」


「現役の九聖光?誰が来るの?」


「それはですね‥‥‥」


「私ですよ。レイカさん。」ツンツン!


私達の後ろからいきなり声がしたと思ったら。前のめりで座って居たエドワード君が体勢を崩し転けそうになる。


「おわぁ、危ない!!」


「あら、ユグドラ君。こんなところで読書ですか?気をつけて下さい。本を夢中で読んでいると突然、後ろから突っかれますかれね?最近の貴方は特に気をつけないと」


「‥‥‥‥神楽さんですか。えぇ、気をつけさせて頂きます」


「そうですか。では、サボってないで仕事をして下さい。行きますよ学生試験官さん」


「いえ、僕はここでレイカさんの活躍を見るという大切な役目が」


彼はそう言うと私の方を見る。続いて神楽さんも。


「レイカさんの活躍を見るですか?‥‥‥‥」


神楽さんは周りを見渡し始めた。元も含め、九聖光が二人も同じ場所に居て。その傍らに謎の新米冒険者(一日しか経っていない)が入るとなると嫌でも目立ってしまう。

その近くにはアレイちゃんとソフィアも入るし。会場内で今、私達が一番目立っているに違いない。


「‥‥‥そう言うことですか。では、来賓室に移動しましょう。其方(そちら)ならば先程の輩(やから)も入って来れませんし」


「おお、流石は、神楽さん。空気が読め九聖光ですな。ありがたや~、ありがたや~」


エドワード君はそう言いながら両手を合わせて神楽さんにお礼を言った。


「全く。調子が良いのですから。では、行きましょう。皆さん」


神楽さんは呆れながらエドワード君を見る。その後、私達を来賓室へと案内してくれた。


そんな、移動中に私はエドワード君に気になった事を彼に聞いてみた。


「ねぇ、エドワード君」


「ハイハイ、何ですかな?レイカさん」


「君と神楽さんってどんな関係なの?」


「はて?同じ九聖光の元同僚ですがそれが何か気になりましたかな?」


「それにしてはかなり気さくに話してるし仲良さそうじゃない?」


「まぁ、神楽さんとはもう、かれこれ10年来の仲でふからな」


「10年来?それって幼馴染みみたいなものじゃ‥‥‥」


「えぇ、彼女は大切な親友ですな。ねぇ神楽さん?」


先頭を歩く神楽さんにそんな質問をするエドワード君。


「‥‥‥‥そうですか。大切な親友ですか私達は?」


神楽さんが何故か質問仕返しきた。


「そうですな。それに昔からの九聖光の同僚で‥‥‥‥」


チャキン!


「ひぃ~」「なっ?!」


神楽さんは腰に突けていた剣を抜くとエドワード君の首元へと向けた。

それを見た。ソフィアと私はビックリして変な声を上げてしまった。


「神楽さん?」


「全く、本当に鈍感ですね。昔からそろそろ気づいてもらいたいものなのですが?」


神楽さんはイライラしながら。エドワードを見つめる。


「はぁ~!止めなさい。神楽・ヨルさん。現役の九聖光が人斬りなんてしたら王都中が騒ぎになりますよ!先日のこのおバカさんのようにね!!!!ふん!」


バゴオオオン!


アレイちゃんはエドワード君の頭を何処から取り出したのか分からないけど。大きなハリセンで勢い良く張り倒した。


「ぐぇ!」


「ギルマス殿?」


「神楽さん。後でこの子にはお説教しときますのでお怒りをお静め下さい。それと後日、貴女に謝りに行かせますので、この子のお金で高級レストランにでも二人で行ってきて下さい」


「ユグドラ君とレストラン‥‥‥は、はい!分かりました。ありがとうございます。ギルマス殿」


あー!これは確定です。大当たりです。いくらにぶちんの私でもあの二人の関係がようやく良く分かりました。

うん!分かりました。

そして、エドワード君は鈍すぎますな。


「レイカ様~!無意識に私の胸を揉まないで下さい~」


「はっ?!ごめんなさい。ソフィア。つい無意識に貴女のあれを‥‥‥‥私ったら!ごめん」


私は目の前の新たな真実に気づいてしまい何処か動揺しまった。そして、救いを求めソフィアの胸を揉んでしまったのかもしれない。


「はい~!大丈夫です~!」


ソフィアはそう言いながら私から離れた。


「コホンッ!では、改めて来賓室へ御案内致します。こちらへどうぞ」


神楽様はそう言うと私達を来賓室へと通してくれた。


「わぁ~!広い、すごい広いです~!」


大はしゃぎする!ソフィア。


「だから、貴方はもう少し周りに気を遣って。特に女性には‥‥‥‥」


「はい、師匠様」


来賓室の角では説教をするアレイちゃんと説教を受けるエドワード君。


「レイカさん」


「はい?」


神楽さんにいきなり話しかられた。


「先程は取り乱してしまい。すみませんでした」


「いえ、私は別に‥‥‥なにも」


とっ!言ってみたけど。多少なりとも動揺する自分が入る。


「お話は変わりますがレイカさんの剣技試験の試験官は私ですのでよろしくお願いいたします」


ん?今なって言いました?


「えっと?今、なんで?」


「はい!私がレイカさんの剣技試験の試験官は私です。先程、貴女と右手を握手して分かりました。貴女が剣技において卓越している方だと」


「そ、そうですか?でも、私は昨日、冒険者になりたてで」


「またまた、ご謙遜を‥‥‥試合。楽しみにしおります。レイカさん。では、私は仕事がありますので少しの間失礼致します。では」


神楽さんはそう言うと来賓室から出ていった。

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