第4話 姫君の剣技
数ヶ月前まで魔道王アルゴンの呪いで不老不死の呪いにかけられていた。
私、カンナギ・レイカは、エドワード・ユグドラという男性に呪いから解放され、現在は、心と身体を休めている状態です。
「めぇ、めぇ?(ねぇ、ねぇ?)」
不意に私は、エドワード君に話しかけた。
「はて?山羊の物真似ですか?上手ですね(笑)姫君」
ぷぷう!!という口元を両手で押さえて笑いを必死に堪えている。
「いはぅわよ、はったく。(違うわよ、まったく)」
バシッ!!
私は、少しイラッとしてエドワード君の背中を軽く小突いた。
「痛いっ!!すみません、すみません。それで何ですか?姫君」
「ヴん、がらだもぼぐなできだがら、びざじふりにげんを、ぶりだいの。(うん、身体も良くなってきたから、久し振りに剣を振りたいの。)」
「久し振りに、ブリ大根?分かりました。今日の夜食は、ブリ大根にしましょうね、姫君」
「バシッ、バシッ、バシッ、バシッ、ばんでよ、ばが。(何でよ、ばか)」
「痛い、痛いです。姫様、嘘です。冗談ですよ。分かってます。分かっておりますよ(笑)剣ですよね。久し振りに剣を振りたいんですね」
「ばっだく。、(まったく)」
ここ数ヶ月彼と一緒にいるとだんだん分かってきたことがある。彼はかなり性格があれじゃないかとたまに思う。
私がまだ、上手く話せないことをいいことに、こうしてたまに私の言ったことをわざと聞き間違いをして、私の怒る反応を楽しんでいる節がある。
今も私の隣でニッコニッコだし。まったくもう。
「では、姫君。洞窟の外に出ましょう。外にいるモンスターでも見つけてリハビリがてら戦って見ましょう」
「ヴん、わがっだわ。(うん、分かったわ)」
私とエドワード君は、2人で外に出た。エドワード君によるとこの洞窟の中は、エドワード君の幻術魔法でモンスターからまったく見えない様に上手く隠しているんだとか。
貴方、治癒師じゃなかったの?っと聞いたら最近の治癒師匠は何でもできる器用貧乏なんです。とか言われて私はそれ以上。聞くのを止めてしまった。
「おっ!ちょうど良く、あそこにワイルドウルフがいますね。姫君、試しにあのワイルドウルフと戦闘をしてみますか?なーに、僕も戦闘のサポートをしますので安心してください」
エドワード君が、そう言って私にニコッとウィンクした。
「ぼうがい、やらじくね。(了解、よろしくね)」
「妨害、よろしくね。ですか、………変わっておりますね。姫君」
チャキンっと、エドワード君の前にカンナギノ剱を静かにかまえた。
「冗談、冗談ですよ。ジョーク、ほんのジョークです。姫様。ハッハッハ(汗)」
まったく、この人は、人をおちょくるのが、本当に好きなんだから。たく。
「ばぁ、ぎぐがら。(じゃ、行くから)」
「はい、頑張りましょう」
私は、目の前のまだ、こちらに気づいていないワイルドウルフに向かって走り出した。
一瞬で間合いを詰め。瞬く間にワイルドウルフに斬撃の一振を喰らわせる。するとワイルドウルフは真っ二つにその四肢を半分に裂いた。
「ばっだあ。(やったあ)」
凄い、手応えがあった。私は後ろでサポートしてくれている。エドワード君に向き直り。今の戦闘の感想を聞くことにした。
「めぇ、めぇ、とうたった?(ねぇ、ねぇ?どうだった?)」
「………………、姫様、大地がえぐれて裂けておりますね。ハッハッハ、ハァ」
エドワード君は、乾いた笑い声をあげ。私の後ろを指差した。
私は、その指の指す方向に導かれてワイルドウルフの死骸がある前へと向き直る。
「………、ばに?。これ?(なに、これ?)」
その光景は大地が、深く抉れ、目の前の岩等は、粉々に砕かれ崩落していた。
「いや~さすが、伝説のカンナギノ姫君。よもやただの剣術の一振がここまでとは、素晴らしい。さすがです。姫様」
エドワード君は、若干引きぎみに私を見つつ感想を述べた。
「しかし、考えてみれば不老不死の呪いを受け、500年近く、絶え間なくモンスターと闘って剣技を磨いていたのですから。この一撃にも納得がいきますね。うん」
「ぞ、ぞうなぼ?(そ、そうなの?)」
「姫様は、多分、現在のこの世界でもかなり上位の戦闘力をお持ちのようですね。御見逸れ致しました。」
「ば、ばりかどう。(あ、ありがとう)」
私は、エドワード君に誉められて嬉しくなった。
「まぁ、ただ、姫君のその力は町や都市等では、余り人々に見せない方が懸命ですね。悪意のある人間や変に怯えて何をしてくるか分からない人間もおりますので」
「バルほどね。(なるほどね)」
そう言い終えたエドワード君は、袋の中に手を突っ込んで探し始めた。
「あっ、あったあった、姫君。こちらのペンダントを、お渡ししますね。これは、自身の力をある程度制御できるアイテムで結構珍しい物なんですよ。これさえ身につければ、力のコントロールもしやすくなります」
エドワード君が取り出したのは、とても綺麗な琥珀色のペンダントに装飾がされている。いかにも高価な代物と一発で分かる。ペンダントだった。
「びいぬ?ぼんどうに?(いいの?本当に?)」
「はい、姫様。こちら、差し上げます」
そう言うとエドワード君は、私の手のひらにそーとそのペンダントを乗せてくれた。
「ヴレジい、ばりがどう、だいじにずるね。(嬉しい、ありがとう、大事にするね)」
私は嬉しさの余り。受け取ったペンダントをその場でずっと眺めていた。
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