第13話 新しい居住地
王都・城下町
「きゃあ!!!ベルウッド公爵が暴れているわ!!」
「逃げろ手が浸けられぞ!」
「獣人はこれだから!!」
「だが、神楽様もいらっしゃる。今日もお美しい」
「はぁあ?!貴方今、何て言ったの?」
「いや、お前、冗談だって‥‥‥」
あっちこっちから悲鳴や逃げ惑う人達の声が聴こえる。
「戻れ!ユグドラ!魔法新聞は見ただろう?奴等も動き始めた!『アルゴン』の再来だ!」
「おやおや、同じアインズの血筋が活躍したから焦ってるんですか?ベルウッド公」
「‥‥‥黙れ!ユグドラ。いいから来い!王に頭を下げろ。それで許してもらえる」
「絶体に戻りません。僕は最早(もはや)、自由の身。これからは、学生生活と迷宮探索に時間を費やします」
「ならぬ!『ラグナログ(神々の黄昏)』はもう行動を開始した。早めに手を打たねば取り返しがつかないことに‥‥‥‥」
「もう、手は打ち始めてますよ。ねぇ?レイカさん」
こんのおバカさん!なんで、こんな状況で私に振るのよ!
ベルウッド公爵。見た目は男獣人そのもので筋骨隆々の身体と獣人らしく獣耳と尻尾が付いている。
「レイカさんだと?いったいどんな奴‥‥‥‥」
ベルウッド公爵が私を見て硬直する。
「何?ねぇ?なんであの人固まって?‥‥‥」
「美しい!」
「はぁ?!」
「貴女はレイカ殿と申すのか?」
「へぁ?はい!」
「そ、そうか‥‥‥‥ユグドラよ!この美しい方は貴様のこれか?」
ベルウッド公爵が右手小指を立てる。
「いいえ!違います」
即答しやがった。後でぶちのめすわ。
「では、なんだ?」
「マネージャーですよ。ブフゥ!彼女は、レイカさんはアイドル志望の、ブフゥ!魔剣士の冒険者です」
「マネージャーだと?!‥‥‥そして、彼女はアイドル志望か?‥‥‥‥なるほど」
「?ベルウッド殿。何がなるほどなのですか?」
「そういう事か?ユグドラ!」
「‥‥‥そういう事です。ベルウッド公爵」
「どういう事よ」
「さぁ?どういう事でしょう?僕にもさっぱり」
「はい?」
私はすっとんきょうな声を上げる。
「あい、分かった!今日はこれで帰らせてもらう。ギルドマスター殿、レイカ殿。失礼した。」
「はい!」「はい?」
「ユグドラ!九聖光の末席は俺から王に頼み。保留にしといてやる。暇になったらまたやれ」
「絶体にやりません」
「ベルウッド公爵。破壊した所を直してから帰って下さい」
「おお、神楽殿。済まない。『復元』魔法」
ベルウッド公爵がそう唱えると。破壊された地面が綺麗に直っていく。
「よし!では、待たな!ユグドラ、ギルドマスター殿、‥‥‥レイカ殿」
「‥‥‥失礼したします」
「はいはい~!」「さようなら」「ええ‥‥‥‥」
ドシュン!! スタっ!
あの二人も当然の様に飛ぶんかい!ていうか、神楽さん。パンツ丸見えに‥‥‥‥チッ!下に黒いズボンを着けてたのね。見たかった。美人のパンツ。
「ふぅ、一件落着ですね」
ポコリ!
「あ、痛!」
「何処がですか?何処が一件落着なんですか?問題児?あん?」
「痛てて、手をつねないで下さい。アレイギルドマスター」
「‥‥‥九聖光を辞めて。学生生活と迷宮探索に時間を費やと言っていましたが。それは、本当ですか?」
「えぇ、本当ですよ!アレイギルドマスター。『ラグナログ(神々の黄昏)』についてはどれぐらい知ってますか?」
「‥‥‥‥魔道王『アルゴン』がその一人だったことしか知りませんね。他の文献には余り残っておりませんし」
「その『アルゴン』の仲間の1人が別の大陸で暴れ。討伐されたのですよ」
「それは、例の魔法新聞の?」
「はい!ですから。僕達は僕達なりの‥‥‥」
一瞬、私を見る。エドワード君。
「守りと。その方を守る義務があります。九聖光を辞めたのもその一種で‥‥‥」
「辞めたのは私情ですよね?」
「して‥‥‥‥」
固まるエドワード君。
「はぁ、もういいです。どうせ、九聖光を辞めてしまって。せっかく、王宮から貸し出されていた屋敷も差し押さえられているのでしょう?」
「おそらく」
「では、貴方には、私の小さい方の屋敷を貸してあげますから。そっちにしばらく住みなさい」
「ありがとうございます。アレイギルドマスター」
こうして、道中のトラブルはあったけど。私達はアレイちゃんのご厚意でアレイちゃん邸に住むことになった。
『アレイ邸宅』
「しゅごい!大きい家!!」
それは絢爛豪華、王族が住むような大きな屋敷だった。
「イヤー!流石、王都本部のギルドマスター!支部とは比べ物にならない位のお金持ちで」
高そうなソファーに座りながら語るは、現在、王都の時の人。エドワード・ユグドラ。元九聖光、(数時間前まで)がめちゃくちゃ寛(くつろ)いでいる。
「少しは遠慮しなさい。ユグドラ君」
「勝手知ったるは他人のギルマスですよ!アレイギルドマスター」
「ふん!」
「ぐげえ!」
「何回ぶっ飛ばされんのよ!君は!」
「レイカさんも突っ立てないで早く座って良いんですよ」
「貴方が言わない」
「ぐえ!」
その時、ドンガラガッシャン!!!
屋敷の奥から凄まじい何が倒れる音が屋敷中に響いた。
「な、何?」
「‥‥‥‥相変わらずですか?」
「いえ、以前より酷くなってます。ソフィアさん!!!」
アレイちゃんが大声で叫ぶ。
「ご、ごめんなさい。アレイ様ーー!」
奥からロングスカートを着たオッパイ‥‥‥‥いえ、失礼。巨乳の銀髪メイドが現れた。
何?あの大きさは?凶器。凶器なの?
男を悩殺する凶器が二つ揺れている。何?あのボインボインは?
「ソフィアさん?また、やらかしましたね?」
「はい~!やらかしました~!ごめんなさい。アレイ様~」
「はぁ、別にいいです。明日は魔法学園の試験でしょう?早く着替えて来なさい」
「はぁい!アレイ様~」
パタパタ!
「ソフィア様は相変わらず。ドジっ娘ですな~!アレイギルドマスター」
「えぇ、ですが、あれでも魔術師としての才能は群を抜いていますからね。後、昔からの付き合いなので」
「一人前になるまでは最後まで面倒を見る。指導者の鏡ですな。アレイギルドマスター」
「ええ、そして、その指導者の最も手が掛かった者が名誉ある九聖光を辞任しましたがね」
「最悪ですな~!」
ブチン!
「寛(くつろ)いでないで。掃除でもしてきなさい!居候!!!」
「ガハッ!はい~」
そうして、エドワード君はキッチンらしき所に飛ばされたのだった。
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