第9話 王都アルベルト

カンナギ王国『王都・アルベルト』


禁忌の森を出てから5日たった。そして、私達。2人は目的地である。王都・アルベルトに到着した。


「なに?あれ?」


リンリン!ポッポッポー!


「あれは列車です。姫君」


「ありゃあ?何?」


「百貨店です。姫君」


「何?あの服装の人達?」


「スーツを着ています。姫君」


「‥‥‥‥‥何なのよ!この500年前とはまるで違う異世界空間はあああ!!!」


「これが今の現実です。姫君」


エドワード君は冷静にツッコミを入れた。


「昔の王都・アルベルトの面影が何もないじゃない」


「当たり前です。姫君」


「もういいです!その姫君ツッコミは!」


「了解です。姫君」


「‥‥‥‥おのれ‥‥‥それで?王都には着いたけど。これからどうするの?君が言ってた魔剣学院とやらにでも行くの?」


「まだ、行きませんよ。あんな、所」


‥‥‥‥このイケメンはさらっととんでもない事を今、言わなかったかしら?

駄目よ!気にしたら負け。


「じゃあ、何処に行く‥‥‥‥」


私がそう、言い終わろうとした瞬間。


「おーーい!そこの姉ちゃん!エライ別嬪さんだな!俺達とお茶漬けでも食いに行こうや?」


「へ?」


「おぉ!マジで当たりじゃねえか!劇マブだぜ!!」


「劇マ?‥‥‥何?」


「‥‥‥‥凄い可愛いって意味ですよ。ブフウウ!!」


エドワード君が笑いを堪えながら教えてくれた。後で上空アイアンクロウをお見舞いしてやるわ。


「おい!おい!無視とは悲しいぜ!可愛い子ちゃんよう!!」


スライムみたいにどんどん増えるモブ男達。


「おうおう!カンナギ様みたいな!エライ別嬪さんがデートしてくれるんだって?」


「チゲーよ!握手会を開いてくれるって‥‥‥」


「マジか?やっぱり。どっかのアイドルか何かかあんた?」


「いや、私はそんな。」


「おん?なんだ!男のマネージャーも近くにいたのかよ!イヤー!済まんかったな!別嬪さん!ナンパなんかしちまってよう!マネージャーの若え兄ちゃんも済まなかったな!」


「アイドル活動。頑張れよ!姉ちゃん!」


「握手会。開いたら絶対行くからな別嬪さん」


「いえ、あの‥‥‥‥」


「ええ!ありがとうございます!皆さん。アイドルの卵(笑)レイさんをどうか宜しくお願い致します」


「おう!待たない!レイさんよう!アイドル活動。応援してるぜ」


「だから!あのーー!」


ナンパ?してきた男の人達はそう言いながら何処かへ行ってしまった。


「ブフウウ!!!ワハハ」


チャキン!私は目の前でアホ笑いしている男に剣を突きつけた。


「‥‥‥‥おい!治癒師」


「‥‥‥‥はい姫君」


「ごめんなさいは?」


「‥‥‥ごめんなさい」


「たくっ!」


シュッピン!剣を鞘に戻し。私はエドワード君のお腹を小突いた。


「しかし、王都に着てそうそうにナンパされるとは。このエドワードすら、思いもよりませんでした。ブフ」


そう言いながら。、また、笑い出そうとするエドワード君。


「こ、こんのー!」


「おっと失礼。では、先ずは冒険者ギルド本部に向かいましょ。姫君。そこに行って。冒険者登録を済ませてしまいましょうか」


「ギルド本部?何それ?」


「簡単に説明しますと。クエストを受けたり。王都に暮らす方々のお手伝いをして報酬が貰える所です。要は職安所みたいな所ですよ。その日、暮らしの日雇い仕事みたいなものです」


「500年前で言うところの神殿みたいなものかしら?」


「神殿!‥‥‥まぁ、その様な感じです。では、行きましょう」


「了解ーー!」


こうして私とエドワード君は王都にある。冒険者ギルド本部へと向かうことにした。


「‥‥‥‥でっかい建物!!!それになんだかお洒落な建物ね」


「ラ・フランス地方の建築家『カミノケ・フナッシー氏』が建てた力作です」


「フナッシー‥‥‥‥?!」


「では、中に入りましょう。姫君」


「う、うん!」


私はエドワード君に言われるがままに冒険者ギルドの入り口へと入って行った。


「お、おい!あれ!あいつ‥‥‥エドワード・ユグドラじゃあねえか?」


「うお!久しぶりに見た。そのとなりの可愛い子は誰だ?声かけて見るか?」


「バカ言え!ユグドラの奴が居るんだぞ。下手な事はするなよ!この本部に出入りできなくなるぞ」


本部ないに入ると私達二人に何人もの目線や話し声が聴こえてきた。


「おや?冒険者登録の受付が混んでおりますね。‥‥‥‥そうか、暦の上では現在、春でしたな。新米冒険者が沢山生まれる時期ですな?新米の姫君」


「私は何かの新種のお米か何かしらなの?」


「飽くまで少し待ちましょうか」


「ねえ?無視なの?」


「あそこに食堂もありますし。昼食を取りに参りましょう」


「‥‥‥‥了解」


受付が落ち着くまで。食堂でご飯を食べながら待つことにした。


「ほう!遠いエウロペ大陸で魔神達が大暴れし被害が拡大したが救国の英雄が突然現れ。エルフの国を救うですか‥‥‥‥なかなかに興味深い記事ですね。姫君」


エドワード君は魔法新聞の記事を読みながらそう言った。

エウロペ大陸って?何の事?何処の話よ。


「私、ここの食堂の料理気に入ったわ。パクパクパクパク」


「そ、そうですか!それは良かった。しかし、良く食べますな」


「そりゃあ、そうよ王都に着いてからほぼ、何も食べて無かったですもの」


「いや、ボアイノシシの干し肉をずっと食べてたじゃないですか?」


「‥‥‥‥‥気のせいよ。頂きます」


私はそう言うとはこばれ来た料理にかぶりついた。

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