透明な花と海　　　　　　　　　　KAC20242　

　同作者様の『透明な花と終わりに』の続編。
「どうしょうもなく恋をした」主人公・健太くんの心情が、これ以上ないほど鮮明に伝わってくる、青春の想い出。

　お世辞抜きで際立った文学的表現の文章。そこから紡がれる心理描写が、海を望む二人の姿さえ、海の色や波音さえ、鮮やかに伝えてくれるようです。

　この先に健太くんの胸に訪れるであろう五月波（五月の荒波）が、けれど今はまだ優しい五月の海の描写と、美しく繋がってさえいると思えます。

　KAC2024の1～3回のお題に、あえての三部作で望む、この創意と挑戦。
　是非とも、「第1回：透明な花と終わりに」「第3回：透明な花とそれから」も、合わせてお読み…続きを読む

あの時…。

とても透き通った切ないお話に、胸がつまる思いです。

薄いとても薄いガラス細工のように、綺麗で透明で純粋な思いがここにあります。

優しくて、でも何が正解なのか
答えが出せない子どものような思いが、
風景のなかに溶け込んでいて
本当に素敵だな～と思います。

是非皆さまにもこの美しさを切なさを
体感して見てください！

当時17歳。大人になれていなくて、やっぱり随分子供っぽくて、でも一途の想いがとても甘酸っぱい。この先の未来が繋がる場所を思うと、急に凄く切なくなる思いです。透明という言葉の意味が深く作風に感じられる素敵な物語です。

なんて美しく切なく、透き通った物語なのだろう？
短い物語はまるで映画のようで、音とにおいを伴って読む者に訴えかけてくる。
大人になるってどんなことなんだろう？
その意味もタイミングも、もしかしたら人によって全然違うのかもしれない。
大人になる瞬間なんて覚えていない。
だけど、大人になってしまったわたしは、失くしてしまった透明なものを
ふと搔き集めたくなるのである。
記憶の箱を開けて。