色褪せぬ青春を、まだ優しい五月の海が、透き通るほど鮮明に表現しています

 同作者様の『透明な花と終わりに』の続編。
「どうしょうもなく恋をした」主人公・健太くんの心情が、これ以上ないほど鮮明に伝わってくる、青春の想い出。

 お世辞抜きで際立った文学的表現の文章。そこから紡がれる心理描写が、海を望む二人の姿さえ、海の色や波音さえ、鮮やかに伝えてくれるようです。

 この先に健太くんの胸に訪れるであろう五月波(五月の荒波)が、けれど今はまだ優しい五月の海の描写と、美しく繋がってさえいると思えます。

 KAC2024の1~3回のお題に、あえての三部作で望む、この創意と挑戦。
 是非とも、「第1回:透明な花と終わりに」「第3回:透明な花とそれから」も、合わせてお読み頂きたいと、願ってやみません。

 三部作、全てを読み終えた後に訪れる感動を、共有したいです……!

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