人間と悪魔は紙一重? コミカルな語り口に巧みな伏線が張り巡らされる!
- ★★★ Excellent!!!
思わず笑いが抑えきれなくなるようなコメディ描写に、悪魔の起こす超常現象をどうにか「心理学」で片づけたい主人公・地獄の公爵フロイトさん……面白すぎました!
「前編」で興味を惹きつけつつ、しっかりと伏線を散りばめてくれるミステリーのご手腕、相変わらずお見事。
そして全ての真実が紐解かれる「後編」は、固結びされた紐がほどけていくようなスカッとした快感すらありました。
(※あくまでも結末のネタバレがない範囲で感想。悪魔だけに、フフッ)
「悪魔だとバレてしまえばエクソシストに祓われてしまう」のに、なぜか「悪魔だとバレそうな超常現象を起こしまくる悪魔」……ここが主人公の煩悶も相まって笑いを抑えきれないくらいコミカルなのに、一方でミステリーとして本気で秀逸と思わされるポイント。
「この悪魔は、なぜ危険な行動をとってしまうのか?」という「なぜ」……つまり「ホワイダニット」に非常に大きな意味があるのです。
そこのホワイダニットに興味を惹かれてしまえば、もう主人公フロイトさんに感情移入しまくってしまい、読む手は止まりません。そして真実が明かされる瞬間の爽快感、更に「悪魔たちに起こったこと」の面白さ、テーマである「心理学」にしっかり帰結する秀逸さ……この作品一本に、多くの楽しみが溢れています。
そしてそして、最後の最後にぶち込まれた大きな要素……うわーっ続きが読みたい!
シャーロック・ホームズにワトソンくんがいるように、こういった関係性を仄めかされることで、「物語の続き」を妄想させてくれる……見事すぎる構成に脱帽です……!
「悪魔による心理学」を巡る新たなバディものとして深く大きな可能性を感じさせてくれる、秀逸すぎるミステリー短編、是非ともご一読をお勧め致します。
つ、続きを……このコンビが活躍する続きを、読んでみたい……!