すったもんだの課外活動・後編

二人目も魔女っ子だった。

「ほぇー」が口癖の彼女だ。

 ピンクのベレー帽に、ピンクのワンピース。胸元には赤と白のリボン。

 しかもスカートのしたには白いフリルがふわふわしていて、所々に赤と白の線がはいっていたり、胸元とお揃いのリボンが付いていたりする。

 足元もしっかり、お揃いのピンクのハイソックス。


 甦るあの時の屈辱。


「ぬぁ~!!!」


 頭を抱える俺を見て、良樹か笑い転げる。

 あの時のことを知らない部長とミヤは、不思議そうな顔をして俺をみる。


「大丈夫かい?突然どうした?」

「ダイジョブデスか?もしかして、推しキャラ過ぎてツラいとか、再現率がすごすぎて恋に落ちたとか?」

「ミヤは一回黙れ。良樹もだぞ」


 良樹に関しては、涙を流しながら、ひーひーいっている。


「スカート丈を見直して良かったのだ」


 橘先輩、気にするとこそこじゃないっす。


「よし、次に行こう」


 速やかにこの場から離れよう。



 三人目は、忍者だった。

 九尾の彼だ。


「あれ?あの子、女の子じゃない?」


 ん?女の子?本当だ。


「Oh.さすがデス。ヨシキは、女の子がダイスキデスね」

「いやぁ、それほどでも」

「「誉めてない」」


 ミヤとハモった。


 そんな話をしていると、彼女は「今から30分休憩だってばよ!」と宣言をしてこちらに歩いてくる。


「蜜柑ちゃーん。来てくれたんだ?」

「もちろんなのだ。服の調子もよさそうで良かったのだ」

「蜜柑ちゃんの作った衣装だもの、当たり前だよ。あれ、そちらの方々は?」

「私が所属してる部活の皆さんなのだ」

「そーなんだぁ。よろしくね」


 いや、よろしくされてももう二度と会わないかもしれないんじゃ?


「ちなみに彼女の名前は、竹田 若菜。神城高校 二年生 国文科、演劇部所属だ」


 なんと!同じ高校の先輩なのか。

 という衝撃とすらすらと個人情報を並べる部長に戦慄がはしる。

 そんな戦慄をよそに、竹田さんは次回衣装について橘先輩に発注をする。


「次、どんなのにするかまた相談に乗って?」

「了解なのだ」


 ほのぼの空気が流れてるけど、


「あれ?橘先輩の服って値段がすごいって………」


 急に竹田さんが遠い目をする。


「ははは、まあ、ね。なんとか」

「鬼畜じゃないのだ。友人割引をして、生地を変えたりオプションを減らしたりして他のより低価格にしてるのだ」


 その言葉に竹田さんは、


「低価格とは?でも、あのクオリティだから、これ以上は値切れないし、いや、でも。うーん」


 と、うなり出した。


 うん、なかなかの苦悩がありそうだな。



 そのあとは、他の(橘先輩作ではない)衣装を見て周り、やっぱり先輩の衣装は凝ってるなぁと思った。

 橘先輩は、他の作者の衣装に興味津々だったし、ミヤはテンション高くわーきゃー騒ぎまくりだった。


 まぁ、俺も楽しかった。

 しかし、疲れた。

 たまにはこんな休日もいいかもしれない。


 またには、な。

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神城高校 再現部 羽入 満月 @saika12

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