五分番組の労力

「今日はまず、一列に並びたまえ。」


 部室のドアを開けると目の前には部長がたっていた。

 扉を開けた俺と良樹は顔を見合わせた。


「突然なんすか?」

「ほら、並んで!!」


 頭のなかははてなだらけだが、部長命令ならばしかたがない。

 部屋に入ると副部長と橘先輩がたっていた。


「早く並ぶのだ、ずっと待っているのだ!」


 さーせん。準備万端だな。

 しかたがないと後ろに並ぶ。


「それでは、一歩進んで…」


 前ならえか?

 思った通り、体操だった。

 その後、解散かと思ったら何故か看板を持たされた。

 看板には、ひらがなが一文字がかかれている。


「部長、なんですか。これ?」

「どうしてもやってみたかったんだ。それをもって、もう一度並びたまえ」


 部長、ちょっと照れくそうだな。

 今度は、なにが始まるんだ?


「それでは、せーのっ」


 ♪おーれたちはすっすむ ……


 朝の五分間番組か!!


 途中でピーっと部長が笛を吹いて、


「背の順に並べー!」


 え、背の順?


 えーっと、橘先輩、部長、俺……


 ん?良樹と副部長は同じぐらいだな。

 結局、副部長、良樹と並ぶ。


「さあ、看板を持ち上げて、読み上げるぞ」


「「さいげぶん」」


 ん?

 さいげ、ぶん?


「あぁ、君たちの身長を読み間違えたな。本来はこうなる」


 そう言って副部長と良樹ね順番を入れ換える。


『さいげんぶ』

「おっ、再現部!!」


 なんて、感心していると下校を告げるチャイムがなる。


「お、帰る時間だな」


 そう言って帰りの準備を始めてふと気が付く。

 今日、たいしてなにもしてなくね?

 テレビで見ると1コーナー1分程度だが、再現すると労力がよくわかる。うん、うん。


「高羽、なに一人で真面目な顔してうんうん言ってるの?帰るよ」

「おー」


 部室に鍵をかけ、だらだらと喋りながら、玄関へ向かうのだった。

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