すったもんだの課外活動・前編

 電車を降り、ホームからでて空を見上げる。

 うーん。可もなく不可もない天気だなぁ。

 風もそよそよと吹いて、気持ちがいいな。


 うん。このまま予定をすっぽかそう。

 そう考えたとたん、隣から話かけられる。


「今、予定をすっぽかそうって思ったでしょ。顔に出てるよ(笑)」

「ちっ。休日に部活メンバーで集まらないといけないんだよ」

「今日は、大事なイベントだから参加してねって言われたでしょ」


 話ながらスマホの時計を確認する。

 約束の時間の数分前だった。

 待合せ相手と合流しようとキョロキョロと見回すと。


「おねーちゃん、暇?俺らと遊ぼうよー」


 ナンパか。

 チャラそうな大学生みたいなのが、女性に声を掛けている。関わらないように………


「NO.ワタシタチveryいそがしいデス。まちあわせシテマス」

「そうなのだ!忙しいのだ!!」


 なに、ナンパされてんだよ。

 今回の招集原因ズ。


「おチビはあっちに行っててねー」

「そうそう、妹ちゃんは、黙ってようね。今、おねーちゃんとお話してるからね」

「ムー!私のが年上のおねーちゃんなのだ!!」


 相手にされてない橘先輩、ちょっとかわいそう。


「ねぇ彼女、お茶しようよ」

「ちょっとぐらい、いーじゃん!」

「NO!オフタリでドウゾ!」


(何だかんだめんどくさそうだなぁ。こういう時は関わらない一択なんだけど、こいつのキャラ的には仲裁一択だろうしな。)


 そんなことを考えながらちらりと隣にいる良樹をみる。

 んー。と悩みながら視線を戻すとばっちりミヤと目が合った。


 げっ。


「Oh.タカバ!ヨシキ!おそいのデス!」


 ミヤは、俺らに向かって走ってくる。


「後輩くん!こいつらしつれーなのだ!」


 ちなみに、橘先輩もチョロチョロと付いてくる。


「なんだ。待ち合わせ男かよ」

「そいつらより、俺らと遊ぼうよぉ!」


 チャラ男たちは、まだ引き下がらないらしい。

 それに対して、ミヤのスイッチが入った。


「だから、忙しいって言ってるでしょ。今日は大事なイベントの日なの!何て言ったって蜜柑先輩の作った超絶prettyでcuteで神がかった衣装の御披露目の日なんだから。先輩の衣装はね………」


 ペラペラと衣装の素晴しさ、コスプレについて語りだす。

 こんだけの熱量で話されると、ドン引きだな。

 ほら、チャラ男たちもドン引きしてる。


「あー、忙しのは良くわかったよ。じゃあまた今度遊ぼうね」


 チャラ男たちは、ひきつった笑みを浮かべながら訪れることのない後日の約束を口にして去っていく。


「マダ、おはなしガ、トチュウデス~。」


 悲しげにミヤが呟く。

 まぁ、一般人の正常な反応だろうな。

 しかも、周りにいる人たちからの視線も痛い。


「場所を移動しょう」


 良樹の言葉でイベント会場まで移動する。


 イベントが始まる前から疲れた………

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る