第4話 掘り出し物市場とダンジョン屋

 起きたら、食堂が開く時間まで木剣で素振りを行います。食堂が開く時間になれば銅貨2枚の食事をとり、部屋から銅貨100枚を袋に入れ、掘り出し物市場に向かいます。


 掘り出し物市場は行商人や小さな町や村から来た人がスペースを借りて、食べ物や手作りしたものを売りに来る場所です。


 掘り出し物市場を回っていると、錬金術で作ったポーション類や何らかの効果がありそうな指輪、背負い袋など、冒険者が必要とするものを中心に売られています。ゆっくりと歩いていると、店の前で何人も集まっているのが見えました。


 「あんなに集まっているってことは何かあるのかな?」


 足早に近づいていくと


 「ほんとにこんなに安くて本物なのか?」

 「いや、それでも高いだろ。」

 「ほんとならもっと値段はするぞ。」


 何やら商品について話しているので商品を見ていると赤い玉や黄色い玉が先に付いている杖が売りに出されていました。


 「本物だよ!何たって俺が作ったものだからな!早い者勝ちさ!」


 どうやら、属性強化の玉を利用して作った魔法を強化する杖のようでした。


 玉はダンジョンの宝箱で入っていることがあり、大きいほど威力を強化し、発動の補助をてくれる魔法使いならだれもが欲しがる一品です。ダンジョンの宝箱から出る杖も魔法を強化してくれますが、ダンジョン産の杖が魔法全般をほんの少し強くするのに対し、玉はその色に対応している属性魔法をとても強くし、早く放つことができるようにします。


 僕の固有の石喰いは玉を喰うことはできないため、関係のないものです。値段は見えませんでしたが、どうせ金貨が必要となる値段だし、魔法も使えないため、足早に離れました。


 いいものはなかったため、次にダンジョン屋に行きました。


 ダンジョン屋に入ると、まだ数人しかいなかったため、ゆっくりと回ることができます。


 ダンジョン屋はFランク、Eランク、Dランクのように分けて商品がおかれています。それぞれのダンジョンの難易度を表していて、どの難易度ダンジョンの宝箱から出たかわかるようになっています。理由はこれから挑戦するランク以上の装備ではないと、壊される危険が高いためです。


 ダンジョン屋の装備と武器屋・防具屋の装備では、基本的にCランク以下のダンジョン産の装備よりも、武器屋・防具屋の装備の方が優れています。例外としては、ミスリルやアダマンタイトで作られた装備はAランクのダンジョン産と同等以上だと言われています。


 また、手入れも武器屋・防具屋の装備は手入れをしてもらえますが、ダンジョン産の装備は特殊なので、修繕屋に行く必要があります。ダンジョン産の装備は何らかの効果だ付与されているため、正しい手入れを行わないと、その効果がなくなってしまうからです。

 

 ダンジョン産の装備は全て魔鉄と呼ばれていて、廃棄されたものは、鍛冶屋で精錬されて装備に再利用されています。鉄よりも性能は高いらしいです。


 ダンジョン屋には、ポーションや大した効果のない装備ばかりで、いいものはありませんでしたが、石がFランクとEランクに売っていました


 石は宝箱に入っていることがあるもので、ただの石とそうでない場合があります。ただの石は割っても何もありませんが、宝石がいくつか入っていて、上手に割ると綺麗で高く売れるもの、小さな玉が複数入っているものもあります。


 しかし、鑑定をしても石としか判定が出ず、割るか削るかしないと、中に宝石や玉があるかないのかわかりません。失敗して宝石が割れる可能性もあります。Dランク以上であれば、宝石や玉はある程度大きいため、専門の人が買いますが、F・Eランクの物は、たとえ入っていたとしても、宝石は小さすぎて上手に割っても綺麗にならず、玉が入っていることはほとんどありません。


 とりあえず、石が銅貨1枚でそれぞれ売っていたため、合計5個買うことにしました。


 その後、道具や行き背負い袋を銅貨10枚で買ったら、部屋に戻りました。


 「まずは買った石を喰ってみよう。」


 1個ずつ喰ってみると、1つだけ宝石が入っていたようでした。


 「1回、宝石を出してみよう。」


 僕の固有の石喰いなら、喰った宝石を1つの塊として出すことができるため、赤い宝石や青い宝石など、どれくらいの大きさになったか確認してみました。


 「まだ小さすぎる。」


 宝石はまだ、とても小さいため、価値は付きそうにもありません。


 「ギルドに行って依頼がないか確認してくるか。」


 お金を銅貨10枚残るように袋から出して、石に包んでベッドの下に隠します。背負い袋を背負いギルドに向かいました。


 ギルドには冒険者がたくさん集まっていて、依頼を取り合っているようでした。


 「おはようございます。エリカさん。」


 「おはよう、トーン君。」


 「街の中の依頼はありますか?」


 「今日はもう別のパーティが取っちゃったからいつものお願いしてもいいかしら?」


 どうやら、買い物をしていたら出遅れてしまったようです。


 「わかりました。行ってきます。」


 「いってらっしゃい。気を付けてね。」


 今日も昨日のように、森へ向かい、薬草や毒消し草の採取に向かいました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る